演目
30演目浪曲には、一席で完結する演目と、何席にも分かれて語られる続き物があります。 続き物は1つの演目にまとめ、その中の一席(段・場)を演目ページの中に並べています。
形式
よみの行
30演目
| 演目 | 系統 | どんな話か | タグ |
|---|---|---|---|
| 赤穂義士伝あこうぎしでん義士伝、忠臣蔵 | 義士伝続き物 | 元禄15年(1702年)の赤穂浪士の討ち入りを題材にした続き物です。浪曲では一話完結の銘々伝・外伝が読まれることが多い演目です。 | |
| 安中草三郎あんなかそうざぶろう | 世話物続き物 | 三遊亭圓朝の人情噺が原作の続き物です。親のための盗みから始まり、罪を重ねていく草三郎の一生を描きます。 | |
| 唄入り観音経うたいりかんのんぎょう | 世話物一席物 | 身投げしようとした百姓を助けた盗賊・木鼠吉五郎の物語です。三門博が新内調を取り入れて作りました。 | |
| 英国密航えいこくみっこう | ケレンネタ一席物 | 幕末に長州藩士5人がイギリスへ密航する物語です。広沢瓢右衛門の代表作でした。 | |
| 恩讐の彼方におんしゅうのかなたに青の洞門 | 文芸浪曲一席物 | 主人を殺して逃げた男が僧となり、難所の岩山を掘り抜きます。そこへ討たれた主人の遺児が仇を求めて現れます。菊池寛の小説が原作です。 | |
| 勧進帳かんじんちょう安宅の関、安宅勧進帳 | 実録物一席物 | 山伏に姿を変えた源義経の一行が安宅の関にかかり、武蔵坊弁慶が白紙の巻物を勧進帳に見立てて読み上げ、関を越えます。 | |
| 岸壁の母がんぺきのはは | 新作一席物 | シベリアに抑留された息子の帰りを待ち、引揚船が入る舞鶴の岸壁に立ち続けた母の物語です。実在の人物がモデルとされます。 | |
| 国定忠治くにさだちゅうじ | 侠客伝続き物 | 上州の博徒・国定忠治が、飢饉に苦しむ領民に施しをして追われ、赤城山を下りるまでを読む続き物です。「赤城の山も今宵限り」の場で知られます。 | |
| 慶安太平記けいあんたいへいき | 実録物続き物 | 由井正雪・丸橋忠弥らによる慶安事件を扱う続き物です。浪曲では、僧・善達が東海道で護摩の灰と出会う「怪僧善達」がよく演じられます。 | |
| 紺屋高尾こうやたかお | 世話物一席物 | 吉原の高尾太夫に一目惚れした紺屋の職人・久造が、3年働いて貯めた金で会いに行く話です。落語でも演じられます。 | |
| 五郎政宗ごろうまさむね五郎正宗孝子伝、背割正宗 | 世話物一席物 | 刀鍛冶の家に弟子として置かれた実の子が、継母のいじめに耐え、その継母をかばって背中を斬られます。 | |
| 佐倉義民伝さくらぎみんでん | 実録物続き物 | 下総佐倉の名主・佐倉宗五郎が、村々を代表して将軍へ直訴する物語です。「甚兵衛渡し」「妻子別れ」が名場面とされます。 | |
| 佐渡情話さどじょうわ | 世話物一席物 | 佐渡の娘お光と、越後柏崎の漁師・吾作の悲恋を描きます。民謡「佐渡おけさ」を取り入れ、「唄う」浪曲として受け入れられた演目です。 | |
| 塩原多助しおばらたすけ塩原多助一代記、出世塩原 | 世話物一席物 | 上州から江戸へ出た多助が炭屋として身を立てるまでを読みます。三遊亭円朝が、実在の豪商・塩原太助を取材してまとめた作品です。 | |
| 芝浜の革財布しばはまのかわざいふ | 世話物一席物 | 落語「芝浜」の浪曲版です。外題は初代木村松太郎によるもので、関東節で演じられます。 | |
| 清水次郎長伝しみずのじろちょうでん次郎長伝 | 侠客伝続き物 | 幕末から明治にかけて実在した清水次郎長と、その子分たちの抗争を描く長編の侠客伝です。二代目広沢虎造の口演で広く知られました。 | |
| 杉野兵曹長の妻すぎのへいそうちょうのつま | 軍国浪曲一席物 | 日露戦争の旅順港閉塞作戦で夫を亡くした妻が、三人の息子を育てながら裁縫教師になる物語です。二代目天中軒雲月の代表作です。 | |
| 曽我物語そがものがたり元禄曽我物語 | 実録物続き物 | 父を討たれた曽我兄弟が十八年の苦難を経て、富士の巻狩りの陣屋で工藤祐経を討つまでを読みます。赤穂義士伝・伊賀越の仇討と並ぶ日本三大仇討の一つです。 | |
| 父帰るちちかえる | 文芸浪曲一席物 | 菊池寛の戯曲を浪曲にしたものです。明治40年頃を舞台とする、浪曲では数少ない近代劇です。 | |
| 壺坂霊験記つぼさかれいげんき | 世話物一席物 | 目の見えない沢市と、夫のために壺坂寺へ願掛けに通う妻お里の物語です。「妻は夫を労わりつ」の節で知られます。 | |
| 天保水滸伝てんぽうすいこでん | 侠客伝続き物 | 下総の利根川流域で実際に起こった、笹川繁蔵一家と飯岡助五郎一家の抗争を描く侠客伝です。二代目玉川勝太郎の口演で知られます。 | |
| 天保六花撰てんぽうろっかせん | 世話物続き物 | 河内山宗俊・直侍ら天保期の6人の悪党を描く群像劇です。浪曲では「松江候玄関先」などの場面が演じられます。 | |
| 唐人お吉とうじんおきち | 実録物一席物 | 日米修好通商条約の交渉のさなか、下田の芸妓お吉がタウンゼント・ハリスの世話係に差し出されたという伝説を題材にします。 | |
| 浪花節じいさんなにわぶしじいさん | 新作一席物 | 平成2年(1990年)に玉川福太郎が初演した新作浪曲です。玉川一門に受け継がれています。 | |
| 乃木将軍伝のぎしょうぐんでん | 実録物続き物 | 乃木希典の逸話を集めた続き物です。「信州紀行」「伊勢参り」などが演じられます。 | |
| 野狐三次のぎつねさんじ | 世話物続き物 | 捨て子の三次が火消しの纏持ちになり、実父を探して仇を討つまでを描く続き物です。初代東家浦太郎の代表作です。 | |
| 瞼の母まぶたのはは番場の忠太郎 | 文芸浪曲一席物 | 幼いころに生き別れた母を捜して江戸へ来た渡世人・番場の忠太郎が、名乗りを拒まれて去っていきます。長谷川伸が昭和5年(1930年)に発表した股旅物です。 | |
| 藪井玄以やぶいげんい薮井玄意 | 世話物一席物 | 大坂の裏長屋に住む医師が、貧しい人からは薬代を取らず、疫病の流行にも秘薬で立ち向かいます。 | |
| 山ノ内一豊の妻やまのうちかずとよのつま | 実録物一席物 | 貧しい侍の山ノ内が、妻の用意した金で窮地を切り抜けます。講談の『山内一豊の妻』と同じ人物を扱いますが、妻の名も金高も舞台も異なります。 | |
| 四谷怪談よつやかいだんお岩稲荷の由来 | 世話物続き物 | 田宮家の娘お岩が夫の伊右衛門に捨てられ、その恨みが関わった者へ次々と及んでいきます。『浪曲事典』は初代浪花家小虎丸の口演を「日本一貞女鑑」として収めています。 |
浪曲を調べる・聴く
演目・演者を調べる
どの演目を誰が演じてきたかは、次の資料で調べられます。いずれも無料で、自宅から使えます。
- 文化デジタルライブラリー(日本芸術文化振興会)
国立劇場・国立演芸場などの上演記録。演目を五十音で引くと、いつ・どこで・誰が演じたかが出ます。浪曲の演目は428件あります。
- 国立国会図書館サーチ
浪花節の本・速記本・レコードの目録。書名がそのまま演目になっている速記本が多く残っています。
- 日本浪曲協会
協会員の一覧と、木馬亭の浪曲定席の番組。いま誰が高座に上がっているかが分かります。
音源を聴く
昔の名人の録音は、国立国会図書館と国際日本文化研究センターが公開しています。
- 歴史的音源(れきおん/国立国会図書館)
明治から昭和にかけてのSPレコードの音源です。演目名や演者名で検索できます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
インターネット公開されている音源だけに絞った検索結果です。
- 浪曲SPレコードデジタルアーカイブ(国際日本文化研究センター)
SP盤9,998枚のアーカイブ。曲名・演者・レーベル・レコード番号で検索できます。盤面の画像は全件見られます。
浪曲は演者によって筋や節の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
演目名・別題・よみと、あらすじを書くための事実は、次の書籍で確認しました。 文章は寄席ミルが書き起こしたもので、本の文章(口演の書き起こし・著者の解説)は 載せていません。手元の本に筋の記述があるものだけを書いているため、網羅ではありません。
- 『浪曲事典』安斎竹夫 編・著、日本情報センター、1975年
- 『浪曲・怪談 知っておきたい日本の古典芸能』瀧口雅仁 編著、丸善出版、2019年
- 『浪曲論[増補改訂版]』稲田和浩、彩流社、2022年
- 『講談事典』瀧口雅仁、丸善出版、2023年
『浪曲・怪談 知っておきたい日本の古典芸能』は浪曲と怪談の合本です。収録10席のうち 「真景累ヶ淵より豊志賀」「怪談牡丹燈籠よりお札はがし」の2席は落語・歌舞伎の怪談として 収められているため、この一覧には入れていません。四谷怪談は、『浪曲事典』が浪曲の名作 (初代浪花家小虎丸の口演)として収めているため、入れています。
『浪曲事典』の「浪曲名作抄」は口演の一節(さわり)を集めたもので、話の筋は載っていません。 そのため、浪曲にも講談にもある演目は、あらすじを『講談事典』から取り、その旨を演目ごとに 断っています。演者名は『浪曲事典』で確かめられたものだけを書いています。

