浪曲の演目

父帰るちちかえる

文芸浪曲戯曲が原作明治親子

菊池寛の戯曲を浪曲にしたものです。明治40年頃を舞台とする、浪曲では数少ない近代劇です。

一席物(一席で完結する話)。系統は文芸浪曲

あらすじ

放蕩の末に落ちぶれた父が家に帰ってきます。官員・教師になっていた長男は冷たい言葉を浴びせますが、それは本心とは違う言葉でした。縁談のある娘も含めて、家族の複雑な思いが描かれます。

浪曲版には、菊池寛の原作には無い設定が加えられています。父が移動動物園を営んでいたが、広島の火事で虎やライオンが焼け死んだという科白です。羽振りの良い間は帰らず、落ちぶれてから帰ってきたことになります。

『浪曲論』は場面と人物関係を示すにとどまり、結末までの筋は書かれていません。

成立と背景

原作は菊池寛の戯曲「父帰る」で、脚色は萩原四郎。関西の初代天光軒満月が浪曲化して得意としました。

節は近代文学調で、『浪曲論』はインテリ層に受けた可能性を指摘しています。江戸時代を舞台にすることが多い浪曲の中で、明治40年頃を舞台とする数少ない近代劇のひとつです。

演じてきた人

初代天光軒満月、三代目天光軒満月(昭和58年〈1983年〉没)。四代目天光軒満月は関西に拠点を置きながら木馬亭にもほぼ毎月出演して演じています。

この演目を調べる・聴く

浪曲は演者によって筋や節の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 浪曲論[増補改訂版]稲田和浩彩流社2022年

上の本に書かれている事実をもとに、文章は書き起こしたものです。本の文章は転載していません。

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