浪曲の演目

唐人お吉とうじんおきち

実録物タウンゼント・ハリス唐人お吉下田幕末実在の人物が題材悲恋

日米修好通商条約の交渉のさなか、下田の芸妓お吉がタウンゼント・ハリスの世話係に差し出されたという伝説を題材にします。

一席物(一席で完結する話)。系統は実録物

あらすじ

日米修好通商条約の交渉が進む中、下田奉行所の伊佐信次郎が、亭主の鶴松に苗字帯刀を与えることを条件に、芸妓のお吉をハリスの世話係として差し出させます。

条約が結ばれてハリスが帰国したあと、お吉は「羅紗洋妾」と後ろ指をさされ、酒浸りの日々を送ることになります。寿々木米若の版では、ハリスは訛りのある啖呵で紳士的に演じられ、お吉がその態度に心を動かされる場面が入ります。

成立と背景

ハリスがお吉を実際に妾にしたかどうかには異説があり、カトリック信者で妾は持たなかった、看護婦として雇ったという説もあります。『浪曲論』は、物語として成立させるためにハリスが悪役に仕立てられたと見ています。

劇作家の大西信行は、お吉の亭主・鶴松を主役に据えた別の視点の「唐人お吉」を書いています。女房を異人に抱かせた男の心理を描くもので、若い演者には演じる難しさがあると『浪曲論』は指摘しています。

演じてきた人

天津羽衣が十八番とし、歌謡浪曲でも歌われました。寿々木米若も演じています。大西信行の版は、のちに廃業した沢孝子が弟子に稽古させていました。

ほかの芸能でも演じられます

この演目は講談でも演じられています。同じ題材でも、 芸能によって筋の運びや読みどころが変わります。

この演目を調べる・聴く

浪曲は演者によって筋や節の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 浪曲論[増補改訂版]稲田和浩彩流社2022年

上の本に書かれている事実をもとに、文章は書き起こしたものです。本の文章は転載していません。

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