浪曲の演目

英国密航えいこくみっこう

ケレンネタ浪曲の書き下ろし伊藤俊輔井上聞多村田蔵六ロンドン江戸幕末実在の人物が題材幕末の志士滑稽道中付け

幕末に長州藩士5人がイギリスへ密航する物語です。広沢瓢右衛門の代表作でした。

一席物(一席で完結する話)。系統はケレンネタ

あらすじ

毛利候の命を受けた井上聞多(のちの馨)・遠藤謹助・山尾庸三・野村弥吉と、西洋の事情に詳しい足軽の伊藤俊輔(のちの博文)の5人が、渡航資金を借りに毛利家の江戸藩邸を訪ねます。「二千両貸せ」と迫り、断られれば金庫番を斬って切腹する覚悟で乗り込みますが、金庫番の村田蔵六(のちの大村益次郎)はイギリスの場所も知らないというやり取りのあと、二千両では足りないとして五千両を出します。

ロンドン密航の手引きをするマチソンカンパニーでもひと悶着あります。スエズ運河が開通する前のため、道中付けは喜望峰回りで語られ、テムズ河畔までの早節で幕が下ります。

成立と背景

『浪曲論』は、この演目をケレンもの(見せ場を派手に演じる演目)でありながら、幕末の志士の志を描くテーマ性を持つ作品と位置づけています。

広沢瓢右衛門(明治30年〈1897年〉大阪生まれ)は戦前は声質からスターになれませんでしたが、昭和50年代に桂米朝がラジオに起用したことをきっかけに、80代で広く知られるようになりました。テレビドラマ『なにわの源蔵事件帖』やカップヌードルのCMにも出演しています。

演じてきた人

広沢瓢右衛門。国本武春もこの演目を十八番としていました。

ほかの芸能でも演じられます

この演目は講談でも演じられています。同じ題材でも、 芸能によって筋の運びや読みどころが変わります。

この演目を調べる・聴く

浪曲は演者によって筋や節の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 浪曲論[増補改訂版]稲田和浩彩流社2022年

上の本に書かれている事実をもとに、文章は書き起こしたものです。本の文章は転載していません。

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