五郎政宗ごろうまさむね
別題: 五郎正宗孝子伝、背割正宗
刀鍛冶の家に弟子として置かれた実の子が、継母のいじめに耐え、その継母をかばって背中を斬られます。
一席物(一席で完結する話)。系統は世話物。
あらすじ
鎌倉雪ノ下の刀鍛冶・藤原三郎行光は、腕はよいが貧しく暮らしていました。その腕を見込んだ森川馬之丞が一人娘のおあきを嫁がせ、行光は相模国の宗匠と呼ばれる身になります。
あるとき行光は、弟子の五郎が差し出した父の形見の短刀が、自分が京都での修業時代に打った刀だと気づき、五郎が実の子だと知ります。おあきがやきもちを焼く性質なので、師弟のままでいてほしいと五郎に頼みますが、その話を聞いたおあきは、以後、五郎をいじめるようになります。
毒を盛られたと知った五郎が叔父に身の上を話し、それを聞いたおあきの父・森川馬之丞は娘を斬ると言い出します。逃げようとして転んだおあきに、五郎は覆いかぶさり、振り下ろされた刀で背中を斬られます。母親に「かわいい子だ」と言ってほしかったという五郎の言葉に、おあきは改心します。五郎は一命を取り留め、背中の刀傷から「背割正宗」と呼ばれるようになります。
成立と背景
刀鍛冶の五郎正宗を主人公にした孝行話として、講談で読まれてきました。
演じてきた人
中川伊勢吉。『浪曲事典』の「浪曲名作抄」は、中川伊勢吉の「五郎政宗」を収めています。
ほかの芸能でも演じられます
この演目は講談でも演じられています。同じ題材でも、 芸能によって筋の運びや読みどころが変わります。
- 講談「五郎正宗孝子伝」
刀鍛冶の家に弟子として置かれた実の子が、継母のいじめに耐え、その継母をかばって背中を斬られる一席。
演目名の表記が違う。『講談事典』は「五郎正宗孝子伝」、『浪曲事典』は「五郎政宗」としている。(講談事典・浪曲事典)
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
浪曲は演者によって筋や節の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 講談事典/瀧口雅仁(丸善出版・2023年)
- 浪曲事典/安斎竹夫 編・著(日本情報センター・1975年)
上の本に書かれている事実をもとに、文章は書き起こしたものです。本の文章は転載していません。

