徂徠豆腐そらいどうふ
別題: 出世豆腐
困窮しながらも学問を続ける男を支え続けた豆腐屋の恩義が、のちに大きな形で返ってくる人情噺。
あらすじ
ある裏長屋に暮らす男のもとに、冬のある日、豆腐屋が売り声を聞きつけられて呼び止められる。男は豆腐を一丁買い求めて残り醤油をかけて食べるが、持ち合わせがないのでまたの機会にしてほしいと言い、豆腐屋はいつでも構わないと答える。翌日もまた同じように豆腐を求め、代金は後払いにしてもらう。
五日目に代金を催促された男は、世に出たら払うと答える。不審に思った豆腐屋が家の中をのぞくと、男は本に囲まれて暮らす学者だった。その暮らしぶりに感心した豆腐屋は、出世払いでよいからと豆腐やおからを無償で届けるようになる。
その後、豆腐屋は病で一週間ほど寝込んでしまう。心配になって長屋を訪ねると、学者はすでに引っ越したあとで、その晩、隣家からの火事で豆腐屋も焼けてしまう。しばらくして大工の棟梁が訪れ、ある人からの言付けとして金を置いていき、店を新しく建てるとも告げる。
後日、身なりの立派な人物が棟梁とともに豆腐屋を訪れ、久しぶりだと声をかける。それはかつて豆腐を買っていた学者その人で、今はある家に仕えていると明かし、当時の恩に礼を述べる。豆腐屋は学者に頼んで店の看板を書いてもらい、以後大いに繁盛する店になった。
特に決まった落ちの台詞はなく、学者から恩を返された豆腐屋が繁盛するところで結ばれる。
ほかの芸能でも演じられます
この演目は講談でも演じられています。同じ題材でも、 芸能によって筋の運びや読みどころが変わります。
- 講談「徂徠豆腐」
貧しい暮らしの中で学問を続ける荻生徂徠に、豆腐屋の七兵衛が代金を求めず施しを続け、のちに徂徠の出世を機に大きな形で報われる一席。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『古典・新作 落語事典』瀧口雅仁、丸善出版、2016年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

