落語の演目

戸田の渡しとだのわたし

人情噺冬の噺講釈が原話江戸殺し貧乏

絹商人が江戸を離れる道中、雪の渡し場でかつて別れた女と再会し、悲劇的な結末を迎える人情噺。

あらすじ

長く江戸の宿に逗留していた絹商人が、ようやく旅に出ることになる。渡し場にさしかかったところで雪が降り出し、これまでの数々の過ちや、かつて情を交わして別れた女性との思い出を振り返りながら、これからは人のために尽くして生きていこうと静かに思いをめぐらせる。

そこへ川原に建つ小屋から、顔に痛々しい傷を負った女の物乞いが近づいてくる。商人が哀れに思って金を恵んでやると、女はその顔をじっと見つめたのち商人の名を呼んで詰め寄ってくる。声がうまく出せない女は雪の積もる地面に文字を書きつけ、それが江戸で暮らしを共にしていた女性であることがようやくわかる。

商人はかつて金に困り、病気で伏せっていた彼女をひとり残したまま算段のために家を離れた経緯を語って聞かせる。女は、商人の郷里がこの渡し場を越えた先にあると知っていたので、いつかここで待っていれば必ずめぐり会えると信じて、ずっと待ち続けていたのだと打ち明ける。

商人はふたたび一緒に暮らそうと申し出て、女の手を取ろうとする。だが来春まで待つように告げた途端、女は堰を切ったように過去の恨み言を並べ立てはじめる。それを聞いた商人はとっさに持っていた刀を抜き、女を手にかけてしまい、降りしきる雪の中に立ち尽くす。

女を手にかけてしまった商人が「お紺、おいらの負けだよ」とつぶやき、雪の渡し場に立ち尽くす。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 古典・新作 落語事典瀧口雅仁丸善出版2016年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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