落語の演目

おさん茂兵衛おさんもへえ

人情噺女房

女嫌いで通っていた手代が旅先の女に一目ぼれし、駆け落ちに至るまでの話。

あらすじ

仲町の呉服屋中島屋に勤める手代の茂兵衛は、年二十六でありながら女嫌いで通っていました。ある祭りの折、店の用向きで三十両もの金を預かり、桐生へ向けてひとり旅に出ます。

道中、上尾の宿の一膳飯屋で働く、二十二、三ばかりの器量よしの女に一目で心を奪われた茂兵衛は、土地の親分である三婦に、その女としばらくでいいから話をさせてほしいと仲立ちを頼み込みました。

ところがその女おさんは、三婦の子分金五郎の女房でした。三婦はいったん仲立ちを断りますが、茂兵衛がなおも金を差し出して食い下がるので、その熱意にほだされて金五郎のもとへ話をしに行きます。

金五郎の家では、ちょうど祭りの費用を工面するためおさんを待合へ働きに出すかどうかで言い争っていたところでした。金五郎は親分の頼みにすぐさま飛びつきますが、おさんは承知しません。親分と二人がかりで説き伏せられ、おさんはようやく茂兵衛のもとへ向かいます。

店の金に手をつけてしまった茂兵衛が、死ぬ覚悟でいると打ち明けるのを聞いて、おさんはすっかり心を動かされました。二人はそのまま手に手を取って姿をくらましてしまいます。

成立と背景

三遊亭円朝が若いころに演じていた人情ばなしで、一朝の口演を経て当代の圓生へと伝えられてきました。ここから先はさらに、芝居がかった語り口の続き物になっていきます。

この噺に出てくるおさんと茂兵衛、それに金五郎という名は、いずれも筋のまったく異なる別の芝居に登場する人物の名を、そのまま借りてつけたものなのだと伝えられています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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