落語の演目

長屋の花見ながやのはなみ

滑稽噺貧乏見立て大家長屋江戸上方落語が原話

別題: 貧乏花見(上方)

大家に誘われた長屋の花見。酒は番茶、玉子焼きはたくあん、かまぼこは大根という代用品づくしです。

あらすじ

貧乏長屋と呼ばれる長屋の大家が、店子たちを呼び集めます。住人の多くは家賃を滞納しており、家賃という言葉の意味を知らない者までいます。大家は、景気づけにみんなで花見に行こうと持ちかけます。

大家が用意したと言うのは、一升瓶の酒と、重箱に入った玉子焼き・かまぼこ。住人は喜びますが、実は酒は薄めた番茶、玉子焼きはたくあん、かまぼこは大根という代用品でした。がっかりしながらも、一同はそのまま花見に出かけます。

花見の場では、番茶を酒に、大根とたくあんを肴に見立てて、飲み食いする真似をします。酔ったふりをした住人が大家に「これはどこの酒か」と聞かれ「灘の生一本」と答えると、別の者が「宇治かと思った」と口を滑らせます。

湯呑みを覗き込んだ住人が「酒柱が立ってる」と言い、長屋に近々縁起の良いことがあると告げます。

成立と背景

原話は上方落語の「貧乏花見」です。二代目蝶花楼馬楽が明治30年代に東京へ移し、今の江戸前の型に仕上げました。

上方の「貧乏花見」は、仕事に出そこねた長屋の連中が家にある物を持ち寄り、仮装をして、かみさんも年寄りも揃って出かける賑やかな宴でした。江戸の「長屋の花見」は、家主が言い出し、店子が付き合いでやせ我慢をして風流を装うという違いがあります。

たくあんを玉子焼きに、大根をかまぼこに見立てるこの設定は、時代に合わせて変えてはいけないものとされます。

演じてきた人

二代目蝶花楼馬楽が東京の型をつくりました。馬楽は俳句もよくし、「長屋じゅう歯をくいしばる花見かな」の句を遺したと伝わります。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語百選 春(ちくま文庫)麻生芳伸 編筑摩書房2004年
  2. はじめて読む 古典落語百選林家たい平リベラル社2021年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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