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幽霊退治ゆうれいたいじ
刀の試し斬りに執着する不破数右衛門が、物乞いを脅し、死者の墓を暴いて死体を斬るなどの行動を重ねながらも赤穂浪士に加わる一席。
一席物(一話で完結する話)。系統は赤穂義士伝(赤穂浪士の討ち入りにまつわる話。本伝・銘々伝・外伝に分かれる。)
『赤穂義士伝』の一席(銘々伝)。
あらすじ
浅野家中で「一徹短慮の粗忽者」として知られる不破数右衛門は、芝居や勝負事には関心を示さず、刀剣類だけを趣味としていた。刀屋の杉本屋で手に入れた無銘の刀を試し斬りしたいと考え、物乞いに「早く死んで生まれ変わった方がよいのではないか」と持ちかける。相手が冗談のつもりで「そうしたい」と答えると、数右衛門は本当に刀を抜いたため、物乞いは一目散に逃げ出し、以後、城下から物乞いの姿が消えたという。
武家奉公人の市助が幽霊の噂におびえていたため、数右衛門はその原因ではないかと考え、近ごろ亡くなった知人の墓を掘り返して死体を斬りつけた。掘り返しに使った鍬から足がつき、墓荒らしの重い罪に問われたが、浅野内匠頭に気に入られていたことから、表向きは死罪という扱いにして追放処分となった。浪人になった後もこの恩を忘れず、大石内蔵助に願い出て仇討ちの仲間に加わったという。
成立と背景
この演目は大師匠にあたる二代目山陽の持ちネタで、山陽は晩年、神田愛山だけにこれを教えたという。山陽の没後は愛山だけが演じており、その後、松之丞がこれを受け継いだとされる。
吉良邸討ち入りの際、四十七士の中で最も多くの敵を倒したのは数右衛門とされ、当日の刀や鎧は損傷が激しかったと伝わる。
読み方の違い
同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。
- 同じ不破数右衛門を主人公とする話として、芝居見物中に舞台の物語を現実と思い込んで殴り込む「芝居狂物」という浪曲の演目がある。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『講談入門』神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二、河出書房新社、2018年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

