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柳生旅日記やぎゅうたびにっき
柳生但馬守宗矩の子十兵衛三巌が、父に片目を潰されながらも剣の才を発揮し、諸国を旅して各地の立ち合いや事件に関わっていく道中記。
連続物(何席にもわたって続く長い話)。系統は武芸物(剣豪・武芸者の話。)
あらすじ
柳生十兵衛三巌は、将軍家指南役柳生但馬守宗矩の長男として生まれた。幼少より武芸の才に優れていたが、父はある夜、闇にまぎれて石を投げつけ十兵衛の右目を傷つけた。十兵衛は右目を負傷しながらも左目をかばって物陰に走り込み、隙のなさを示した。
その後、武芸に凝り過ぎたためか、十兵衛は関羽・張飛や為朝など昔の武将に稽古をつけたと言い立てるなど常軌を逸した言動が目立つようになり、大和柾木坂の陣屋で静養することになった。父の相談を受けた沢庵禅師が柾木坂を訪れ、十兵衛と奇妙な問答を交わした。
十兵衛は諸国を旅する道中、駕籠かきや松平伊豆守信綱ら行き会う人々に金の無心を持ちかけたりしながら、尾張徳川家に招かれて剣術指南を求められたりした。奈良では宝蔵院の覚禅坊のもとで丑之助という少年に目をとめ、後に自らの弟子とする約束を結んだ。この丑之助が、後年伊賀上野の敵討ちで知られる荒木又右衛門である。
十兵衛は越前福井藩に滞在して吉岡兼房・小野治郎右衛門ら諸国の武芸者と立ち合いの場に臨んだのち、突然福井を去り、雪に閉ざされた越後高田で冬を越して江戸へ戻った。将軍への報告を終えると、家督を継がず大和柾木坂に隠遁し、荒木又右衛門らの弟子を育てながら静養した。弟又十郎は行いを改めて家督を継ぎ、飛騨守宗冬となった。
本の章立て
47章『講談名作文庫』(講談社)の本文に出てくる見出しを、本の並びのまま挙げています。この巻の章は、話の中の場面を指しています。筋はここには書いていません。印の付いたものは、文字の読み取りに確信が持てなかった題です。
- 敵はいつどこにいるかわからんぞ
- 慢心が嵩じてピントが狂ったか
- キ印とキ印の珍問答
- 将軍家の密命くだる
- 狂人を装って漫遊の旅
- 知恵伊豆に餞別の無心
- 義によって助太刀いたす
- 天竺へ供をいたせ
- 独眼流片目はすしの正眼*
- 十兵衛さては食い逃げか
- 八等身の美人剣客
- 名前は宿へ置き忘れた
- 覚神坊が愕然
- 坊主つ、自分の引導は自分で渡せ
- 侍姿の不思議な宿引き
- 知らぬが仏、釈迦に説法
- 俄侍の名が鬼の清勝
- ケチット極まる奴じゃ*
- 鶴の一声に一同ギャフン
- 拾ったものを返すなどとは*
- 馬丁とはよくぞ見た
- 自慢の目玉は節穴
- 十兵衛贋狂人ふりを発揮
- 十兵衛ギョギョッとする
- 待ちに待ったる時節到来
- 酒で釣りだす下郎の口
- 謀事は密をもって尊し
- 見栄と慾とにたまされる
- 思いぞ晴れる錦帯橋の仇討ち
- えへんパッサリ天下無敵の豪傑じゃ
- お供はつらいねと、十兵衛先生
- 槿花一朝、豪傑の夢
- 見る目美し兄弟愛
- 一堂に会す四名人
- 月下に受けつぐ二刀流の奥義
- 美人が無うてなんの酒ぞや
- 罠にかかった可憐な小娘
- 汝等ごときはお手玉侍
- 武士の風下にも置けぬ奴
- お見事なる一番槍
- 降りかかる兵児の火の粉
- ここは冥土かそれとも娑婆か
- 振られたと降られたで、飛んだ間違い
- 聞いてビックリ下郎の素性
- よれよれ侍は吉岡兼房
- 八幡社前、三名人のリーグ戦
- 若隠居、柾木坂へ隠遁
成立と背景
柳生家は柳生但馬守宗厳が神陰流から新陰流(柳生流)を編み出したことに始まる一族とされ、その子宗矩が徳川家光の指南役となった。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『講談名作文庫(真田幸村・水戸黄門・大岡政談・柳生旅日記・赤穂義士銘々伝・太閤記・鼠小僧次郎吉・いれずみ奉行・弥次喜多道中記・寛永三馬術・清水次郎長・塚原卜伝・大久保彦左衛門・雷電為右衛門・左甚五郎・幡随院長兵衛・田宮坊太郎・国定忠治・一休和尚漫遊記・伊達騒動・天保六花撰・快傑自来也・由井正雪・荒木又右衛門)』講談社 編、講談社、1976年(電子版 2013〜2014年)
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

