このページは公開前の確認用です。URLを知っている人だけが見られる状態にしてあります。 サイト内のメニュー・サイトマップには出ておらず、検索にも登録されません。 内容を確認したうえで公開に切り替えます。

講談の演目

寛永宮本武蔵伝かんえいみやもとむさしでん

武芸物連続物剣術敵討ち果たし合い修行剣豪江戸

武蔵の義父を死に追いやった佐々木小次郎岸柳を討つため、宮本武蔵が箱根から西国まで武芸者たちと渡り合いながら決闘の地へ向かう連続物。

連続物(何席にもわたって続く長い話)。全17席。系統は武芸物(剣豪・武芸者の話。)

あらすじ

武蔵の妻の父にあたる石川軍刀斎巌流は、江戸・白山下で道場を構えている。その評判をねたんだ肥後熊本の剣豪・佐々木小次郎岸柳は、弟子を「偽岸柳」に仕立てて江戸へ送り込み、巌流に果たし合いを挑ませる。病のため戦うことができない巌流は、無念のうちに自ら命を絶つ。

武蔵は「偽岸柳」を討って義父の無念を晴らし、本物の佐々木小次郎岸柳を討つために江戸を離れる。箱根の山中で狼の群れと渡り合い、名古屋では尾張藩の指南役と試合をし、心を病んだ柳生十兵衛と対峙し、天狗騒ぎの正体を暴き、風呂に閉じ込められる罠にも遭うなど、各地の武芸者と出会いながら西へ西へと旅を続ける。

旅の道中では教えを乞う相手もあれば、命のやり取りとなる相手もある。やがて下関で小次郎岸柳の消息をつかんだ武蔵は、行き交う船の上で本人を見つけ、豊前小倉の灘島(巌流島)での決闘を約束する。当日、七十代でありながら手ごわい小次郎岸柳を相手に、武蔵は土壇場で技を繰り出し決着をつける。

各席

15

手元の本に題と筋が載っている席だけを並べています(全17席のうち15席)。席の分けかたと題は演者によって変わります。

  1. 3. 闇討ち道場を破られ弟子たちが総崩れになったことを恨みに思った偽岸柳が、二人の弟子とともに目黒行人坂で武蔵を待ち伏せするが、あっけなく斬られる。武蔵はそのまま本物の小次郎岸柳を討つために西へ向かう。
  2. 4. 狼退治箱根の山道を駕籠で越えようとする武蔵。関所が閉まっていたため山中で夜を明かすことになり、そこへ狼の群れが襲いかかる。武蔵は二刀で応戦するが、隣で素手で狼を打ち倒す駕籠かきがおり、その正体は柔術の使い手・関口弥太郎だった。
  3. 5. 竹ノ内加賀之介宿で武蔵の体をもみほぐす療治師が無類の喧嘩好きで、施術の途中の口論から喧嘩になり、畳をはがし相手を投げ飛ばすほどの騒ぎになる。この男は、自分より強い相手を探して諸国を回る柔術家だった。
  4. 6. 山本源藤次東海道を進んで名古屋に入った武蔵は、義兄弟だと偽って尾張藩の指南役・山本源藤次を訪ねる。尾張大納言への目通りもかない、源藤次との試合が実現するが、互角の攻防の末、大納言の裁定で引き分けとなる。
  5. 7. 柳生十兵衛佐々木小次郎岸柳、吉岡又三郎とともに「天下の三名人」に数えられる柳生十兵衛三厳を武蔵が訪ねる。十兵衛は心を病んでいたが武芸の力量は衰えておらず、二刀の武蔵と素手の十兵衛の一戦となる。
  6. 8. 吉岡治太夫元は武田家の武将だった吉岡治太夫は、徳川に仕えることを潔しとせず京で道場を構える。高弟である搗米屋の主人が他流の門弟との禁じられた試合を強いられて大敗し、治太夫は弟子の仇を討つべく相手方へ乗り込む。
  7. 9. 玄達と宮内各地の名だたる武芸者に挑み続ける武蔵は、手裏剣の使い手・毛利玄達から飛び道具を打ち払う技を学ぶ。続いて弓の達人・宮内との一戦に臨むことになる。
  8. 10. 天狗退治夜道の旅人に天狗が悪さをするという噂を聞いた武蔵は、恐れずに自ら夜道へ踏み込んでいく。正体は天狗ではなく、腕試しと刀試しを目当てにした侍の仕業だった。
  9. 11. 吉岡又三郎武蔵が相対するのは、寛永期の剣術三名人の一人に数えられる吉岡又三郎。小太刀を使う又三郎の技量は予想以上に手強く、武蔵は苦戦を強いられ、宙を舞い手裏剣を放つなど互いに秘術を尽くした戦いとなる。
  10. 12. 熱湯風呂自分の命を狙う一門だとは気づかず、もてなしを受けて風呂に通される武蔵。着物を脱いで湯に浸かったところで戸に釘を打たれて閉じ込められ、熱湯を浴びせられる。武蔵は湯を避けながら死んだふりをし、隙を見て暴れ出す。
  11. 13. 桃井源太左衛門居酒屋で自分の道場自慢をする門弟たち。居合わせた老人が「先生をやり込めてやろう」と言うので道場へ案内すると、老人は道場主の桃井源太左衛門を素手であっさり倒す。この老人こそ伊東弥五郎(一刀斎)であり、武蔵は教えを乞う。
  12. 14. 甕割試合伊東弥五郎(一刀斎)は徳川家康から剣術指南役を頼まれるが固辞し、代わりに弟子を推挙するよう求められる。甲乙つけがたい高弟である小野善鬼と神子上典膳の二人を、あらためて試すことになる。
  13. 15. 山田真龍軒播州・舞妓が浜の茶店前で荷物が身体にぶつかったことがきっかけとなり、「毒虫」の異名を持つ山田真龍軒と武蔵の果たし合いが始まる。真龍軒の武器は鎖鎌で、武蔵はこれに「天狗昇飛切の術」で対抗する。
  14. 16. 下関の船宿「小倉で武蔵と小次郎岸柳が決闘する」という噂を耳にし、下関から船に乗り込む武蔵。すれ違う船の中に小次郎岸柳を見つけて船を乗り換え、果たし合いを申し入れる。両者は灘島(巌流島)で決着をつけることになる。
  15. 17. 灘島の決闘決戦の地・灘島に、時刻通り姿を現した武蔵と小次郎岸柳。七十代でありながら小次郎岸柳の力量は侮れず、弱った様子を見せては武蔵の油断を誘って襲いかかる。窮地に陥った武蔵が最後にどのような技で応じたかが見せ場となっている。

成立と背景

武蔵は既婚者として描かれ、佐々木小次郎岸柳は七十歳を超えた人物という設定になっている。

読んできた人

大師匠の二代目山陽は「狼退治」と「熱湯風呂」の二席を生涯にわたり高座にかけていたという。

読み方の違い

同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。

この演目を調べる・聴く

講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 講談入門神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二河出書房新社2018年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

← 講談の演目一覧へ