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講談の演目

畔倉重四郎あぜくらじゅうしろう

お裁き物連続物殺し悪人変装騙り裁き江戸

一刀流の剣を受け継ぎながら博打で身を持ち崩した畔倉重四郎が、次々に人を手にかけて逃げ延び、最後は大岡越前守に捕らえられる連続物。

連続物(何席にもわたって続く長い話)。全19席。系統はお裁き物(奉行の裁きを読む。政談ともいう。)

あらすじ

善良な父から一刀流の剣術を受け継ぎながら、博打で身を持ち崩した畔倉重四郎は、恩人である穀屋平兵衛を殺害したのを皮切りに、邪魔になる者、気に入らない者を次々に手にかけ、その罪を周囲になすりつけて自分だけは生き延びていく。

育った幸手の地を離れて名前を変え、神奈川宿の旅籠の主に納まって何不自由のない暮らしを送るが、折に触れて悪事への欲求を抑えきれず、次々と新たな殺人を重ねていく。

無実の罪を負わされた杉戸屋富右衛門の子で座頭の城富、そして江戸南町奉行の大岡越前守とその手下たちのあきらめない探索によって、重四郎の悪事はやがて暴かれ捕縛される。取り調べの場では平然と身の潔白を訴え、牢に入ってからもなお企みを続けるが、最終的には処刑の場でその生涯を終えることになる。

各席

18

手元の本に題と筋が載っている席だけを並べています(全19席のうち18席)。席の分けかたと題は演者によって変わります。

  1. 1. 悪事の馴れ初め幸手宿で商家を営む穀屋平兵衛は、江戸で命を救われた縁から、一刀流の遣い手である畔倉重右衛門とその子重四郎の面倒を見る。重右衛門が世を去ると重四郎は崩れはじめ、博打に手を出して剣術の指南もおろそかになる。
  2. 2. 穀屋平兵衛殺害の事平兵衛の娘であるおなみに宛てて重四郎が書いた恋文が、思いがけず同業者の杉戸屋富右衛門の手に渡ってしまう。筋違いの恨みを募らせた重四郎は平兵衛を手にかけ、何も知らない富右衛門にその罪をなすりつける。
  3. 3. 城富歎訴まんまと重四郎の企みにはめられた富右衛門は平兵衛殺害の疑いで捕らわれ、責め苦に屈して身に覚えのない罪を認めてしまう。富右衛門の子で座頭の城富は、治療のために呼ばれた先の老中・安藤対馬守に向けて、父親が置かれた苦境を訴え出る。
  4. 4. 越前の首南町奉行の大岡越前守が平兵衛殺しの一件をあらためて調べ直すものの、結果は変わらず富右衛門は獄門の沙汰を受けてしまう。それでも越前守は「もし本当の下手人が他にいるならこちらの落ち度である」と述べ、その際は自らの首を差し出すとまで城富に言い切る。
  5. 5. 金兵衛殺し栗橋の賭場で貸元をつとめる鎌倉屋金兵衛を、重四郎と遊び人の三五郎が斬殺し、売上金を奪って逃げる。
  6. 6. 栗橋の焼き場殺し金兵衛の子分三人に追われた重四郎は、焼き場近くの荒れ寺にいた元博徒の熊坊主に金を渡してかくまってもらうが、三人が去った後、真相を知る熊坊主の口を封じるため殺す。さらに三五郎と示し合わせて追っ手の子分三人をだまし討ちにし、死骸を始末させた弥十も殺したうえで三五郎とは別々の旅に出る。
  7. 7. 大黒屋婿入り富士川の宿場で旅籠と遊女屋を兼ねる店の後家おときと男女の仲になった重四郎は、その家に婿入りして二代目の大黒屋重兵衛を名乗る。泊まり客の侍が五百両を懐にした強盗殺人犯だと見抜くと、これも手にかけて金を奪うが、店の遊女おふみにはどこか怪しまれてしまう。
  8. 8. 三五郎の再会幸手で別れた三五郎が、重四郎の旅籠を訪ねてくる。重四郎はこの男を自分の兄ということにして遊女おふみと所帯を持たせ、小間物屋を開かせる。ところが三五郎は店を放り出し、重四郎に金をせびるようになる。
  9. 9. 三五郎殺しつけあがる一方の三五郎を始末しようと腹を決めた重四郎は、「品川で遊女屋を始めるつもりだ」と偽って誘い出し、鈴ヶ森で命を奪う。そこで物音を耳にしていた、物乞いをする六の存在にも気づかぬまま、重四郎は素知らぬ顔で大黒屋へと帰っていく。
  10. 11. 城富奉行所乗り込み実の父である富右衛門に濡れ衣を着せたのがほかならぬ重四郎だと突き止めた城富は、みずから奉行所に訴え出ることを決める。大黒屋で縁のできたおふみを妻に迎えた城富は、おふみが前夫の三五郎から聞かされていた重四郎のこれまでの悪事についても知ることになる。
  11. 12. 重四郎召し捕り越前守の依頼を受けた関東郡代・伊奈半左衛門が、客同士の喧嘩を装って大黒屋に踏み込む。神奈川宿はもとより半左衛門の支配地であり、激しいもみ合いの末に重四郎はついに取り押さえられ、まもなく江戸へと送られていく。
  12. 13. おふみ重四郎白洲の対決おふみは大岡越前守の詮議の場で、三五郎から聞かされていた重四郎の悪事を包み隠さず証言する。だが引き出された重四郎は、平兵衛殺しはすでに富右衛門が下手人として罰を受け決着済みだと言い張り、確かな証拠を出せの一点張りではねつける。
  13. 14. 白石の働き越前守の懐刀である同心・白石治右衛門は、大森で物乞いに身をやつして探索にあたり、三五郎殺しの現場に居合わせた物乞いの六からついに証言を引き出す。この働きにより、重四郎は小伝馬町東の大牢に入れられる。
  14. 15. 奇妙院登場重四郎が入れられている牢に、まがいものの法印である奇妙院晴山が新たに送り込まれてくる。何くれとなく奇妙院を気にかけ、責め苦で弱った際には牢の医者まで呼んでやった重四郎は、恩を感じた奇妙院の口からこれまでの悪事をすっかり聞き出してしまう。
  15. 16. 奇妙院の悪事(上)野州野木宿の名主・青木定右衛門の一人娘おはまが病死し西光寺に葬られる。奇妙院は許婚になりすまして寺を訪れ、遺骸から銀簪を盗んだうえ、口封じのため相棒の権太を毒殺する。
  16. 17. 奇妙院の悪事(下)諸国を巡る修行僧を装った奇妙院は定右衛門の家を訪れ、「亡くなったおはまの霊から簪を託された」と偽って百両を巻き上げる。そのまま懲りずに悪事を重ねていったものの、やがて御用となり小伝馬町の牢へ送られる。
  17. 18. 牢屋敷炎上先に娑婆へ戻ることになった奇妙院に対し、重四郎は五百両を渡す約束で「牢に火をつけて自分を逃がしてほしい」と頼み込む。ところが出牢した奇妙院は、風の強い日に居眠りをして自分の住まいから火を出し、そのまま命を落としてしまう。もくろみどおり罪人たちは一時的に外へ出られたものの、重四郎の怪しい振る舞いを大岡越前守に見抜かれ、配下の白石によって取り押さえられる。
  18. 19. 重四郎服罪重四郎が重ねてきた罪はことごとく明るみに出て、千住小塚原での磔刑をもって裁かれた。

成立と背景

畔倉重四郎が手にかけた者は、全十九話を通じて数えると十一人にのぼる。

「奇妙院登場」「奇妙院の悪事」の二席は本筋と直接の関わりが薄いエピソードとして位置づけられている。

村井長庵、徳川天一坊とともに、大岡越前守が調べた悪党のうち「これだけは許せない」とされた三人(三政談)の一人とされる。

この演目を調べる・聴く

講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 講談入門神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二河出書房新社2018年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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