雪の瀬川ゆきのせがわ
別題: 傾城瀬川、松葉屋瀬川
遊びを知らなかった堅物の若旦那が、花魁との恋に身を持ち崩し、勘当から立ち直るまでを描いた人情噺。
あらすじ
商家の若旦那は読書ばかりしている生活を送っていたため、番頭が浅草見物に連れ出す。ところが道々の名所は若旦那の方が詳しく、案内役のはずの番頭が教えられる始末だった。茶屋で一服していると、田舎にいる父親から届いた金を使って遊ばせてはどうかという話になり、番頭はそれをたしなめる。そこへ通りかかった幇間に若旦那のことを頼むと、幇間は翌日から店に通うようになる。
幇間はいきなり遊里に誘うのではなく、花の生け方などから教え、吉原で開かれる会に若旦那自らが行きたいと言い出すのを待って、はじめて廓へ連れて行く。そこで引き合わされた花魁に若旦那はすっかり惚れ込み、通ううちに大金を使い込んでしまい、とうとう勘当されてしまう。
身を投げようとしたところを、かつて店で働いていて今は屑屋をしている男に助けられ、その家に身を寄せることになるが、花魁のことが忘れられない。仲間を介して手紙を送ると、花魁も若旦那を思い続けて床に伏せっていたと知らせてきて、返事とともに金を届けてくる。手紙には雨の日に会いに行くと書かれていたため、若旦那は天気ばかりを気にするようになる。
ある朝、雪が降り出すと、若旦那が待ちわびるうちに駕籠の音が近づいてくる。降り立ったのは侍のような身なりの人物だったが、頭巾を取ると、それは姿を変えた花魁だった。その後、若旦那は詫びを入れて勘当を解かれ、花魁を身請けして夫婦になる。
雪の夜に姿を変えてやって来た花魁との再会を経て、若旦那は勘当を解かれて夫婦となる。
演じ方の違い
同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。
- 長い演目のため、前半と後半に分けて演じられることがあります。
ほかの芸能でも演じられます
この演目は講談でも演じられています。同じ題材でも、 芸能によって筋の運びや読みどころが変わります。
- 講談「煙草屋喜八」
勘当された若旦那の面倒をみるために盗みへ入った煙草屋が、恩人の名を明かさぬまま捕らえられる連続物。
落語『雪の瀬川』は、講談『煙草屋喜八』の前半にある、穀屋の若旦那善次郎と花魁玉照の恋の部分が独立したものである。(講談事典)
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『古典・新作 落語事典』瀧口雅仁、丸善出版、2016年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

