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講談の演目

天保六花撰てんぽうろっかせん

白浪物連続物騙り変装悪人義理人情博打身分違い江戸

天保年間の江戸を舞台に、御家人上がりの河内山宗俊や片岡直次郎ら一癖ある6人の男女が、騙りと色恋を重ねながらそれぞれの最期を迎えていく。

連続物(何席にもわたって続く長い話)。系統は白浪物(泥棒の話。)

あらすじ

物語は徳川の統制が緩み、旗本や御家人の一部が権威を笠に着て乱行を働いた天保期の江戸を舞台とする。作中では、和歌の名手を六歌仙になぞらえる古い呼び方にならい、御家人の家に生まれた河内山宗俊をはじめ、似た境遇の男女6人を六花撰と呼びならわしている。宗俊は御城勤めの坊主の家に生まれ、幼いころから隣家との揉め事を理屈で丸く収めるなど、際立った才知を見せていた。

成人した宗俊は、浪人の娘お雪を狼藉から救ったことをきっかけに深い仲となるが、お雪は別の折に彼女を助けた片岡直次郎にも心を移していく。宗俊はこの様子を知って身を引き、直次郎と義兄弟の契りを結んだ。お雪の父はこれを恨んで、娘の縁談を潰されたと言い立てて宗俊の家に押しかけ、金をせびろうとするが、居合わせた直次郎が事の次第を語って父親をやり込め、この企ては失敗に終わる。

その後、直次郎は吉原の遊女三千歳と深い仲になり、身請けの金欲しさに宗俊へ相談を持ちかける。宗俊は三千歳の贔屓客である商人森田屋清蔵を言葉巧みに欺こうとするが、清蔵はこれを見抜いて取り合わない。同じころ、腕に覚えのある金子市之丞が夜道で何者かに斬りつけられる一幕があり、金市自身はこれを三千歳をめぐる恋のもつれと受け止めている。金市はやがて博打がもとの兇状持ちであったことが露見して召し捕られ、三千歳はその連行を泣いて見送った。

宗俊はほかにも、金に困った丑松への用立てや、質屋・呉服屋を相手にした数々の騙りを重ねて暮らしを立てていたが、水戸家の内証に絡む富くじの一件に難癖をつけて金を得たことが命取りとなる。捕らえられた宗俊は28カ条にわたる詮議にも動じず答え続けたが、詮議のさなかに牢内で急死した。直次郎は宗俊に先立って処刑され、森田屋清蔵も後に捕らえられている。三千歳は金市の亡骸を葬って尼となり、諸国を巡る晩年を送ったと伝えられる。

本の章立て

40

『講談名作文庫』(講談社)の本文に出てくる見出しを、本の並びのまま挙げています。この巻の章は、話の中の場面を指しています。筋はここには書いていません。印の付いたものは、文字の読み取りに確信が持てなかった題です。

  1. 奇才縦横、あっぱれな少年
  2. 宗俊の袂にラブレター
  3. わが夫ならぬ夫なかさねそ
  4. 娘を疵物にした覚えがあろう
  5. 女房の首なし変死体
  6. 思いがけなく手に入る二百四十両
  7. あわや、身投げの寸前
  8. その鈍刀で俺が斬れるかっ
  9. 晴れてうれしい夫婦雛
  10. えっ、三千歳が逃げたっ
  11. 金の腕守りがなによりの証拠
  12. 直の分の百両はどうした
  13. こりゃあ、狂言の書きなおした
  14. 早くも見抜かれた腹のうち
  15. 肝胆相照らす人の悪党*
  16. お約束が違やしませんか
  17. 恋のチェンジ・オブ・ペース直侍は吉原の蠅でさあ
  18. やせ我慢は毒でありんす
  19. ピン小僧めきめき売り出す
  20. 二百両のかけ込み無心
  21. 河内山情けのおおかたり
  22. あっ、丑松のにわか侍姿
  23. やっぱり三千歳の真実か
  24. よし繩をのばしてやろう
  25. またいやな皿と徳利かい
  26. 妖婦と悪党の化かしあい
  27. にたりとほくそ笑む妖婦
  28. さすがは悪党の荒仕事
  29. おなみ座敷牢のせめ苦
  30. 出羽侯なら相手に不足はねえ
  31. もう賽の目は捨てました
  32. 強つく婆あの無理難題
  33. またも悪旗本の横恋慕
  34. 怨み晴らして…とお半の一言
  35. 待て待て、待てっ、御用だっ
  36. 金市、約束を果たして自訴
  37. いよいよきびしい詮議の眼
  38. 感深しお雪とのめぐり会い
  39. そちはかりにも母者人
  40. 二百両の内済金が運の尽き

この読み物に含まれる一席

3

それぞれ独立した演目として高座にかかります。本に「『天保六花撰』の一席」と 書かれているものだけを並べています。

成立と背景

天保の時代に和歌の名手6人を六歌仙になぞらえた古い呼び方にならい、似た境遇の男女6人を六花撰と呼びならわしたことに由来するとしている。

結びでは、旗本や御家人が横行して悪事を重ねた徳川末期の世相を映した物語だと位置づけ、主人公宗俊の墓が東京青山の高徳寺にあると伝えている。

ほかの芸能でも演じられます

この演目は浪曲でも演じられています。同じ題材でも、 芸能によって筋の運びや読みどころが変わります。

この演目を調べる・聴く

講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 講談名作文庫(真田幸村・水戸黄門・大岡政談・柳生旅日記・赤穂義士銘々伝・太閤記・鼠小僧次郎吉・いれずみ奉行・弥次喜多道中記・寛永三馬術・清水次郎長・塚原卜伝・大久保彦左衛門・雷電為右衛門・左甚五郎・幡随院長兵衛・田宮坊太郎・国定忠治・一休和尚漫遊記・伊達騒動・天保六花撰・快傑自来也・由井正雪・荒木又右衛門)講談社 編講談社1976年(電子版 2013〜2014年)

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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