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講談の演目

出世の富くじしゅっせのとみくじ

出世譚一席物出世情け恩返し江戸

別題: 富くじ一番当たり、無欲の出世

掏摸に遭った小僧へなけなしの金を渡した侍が、当たった千両を焼き捨てたことで取り立てられる一席。

一席物(一話で完結する話)。系統は出世譚(低い身分から身を立てるまでを読む話。)

あらすじ

文政5年(1822年)12月、札差から出てきた若い侍に一人の小僧がぶつかる。若い男にぶつかられて懐の一両三分を取られ、追いかけていたという。気の毒に思った侍は一両三分を渡して立ち去る。侍は水道端に住む井上半次郎で、妻と新太郎・千代という子があり、暮らし向きはよくない。それでも正月には晴れ着をと、給金を前借りした帰りだった。

半次郎が湯島天神へ行くと、ちょうど富くじの日で人だかりができている。残った金で富札を一枚買って帰り、小僧に金をやったことを妻に話すと、よいことをすれば必ずよいことがあると返される。数日後、当たり番号を伝える読売を見ると、一番富の千両が当たっていた。喜ぶ半次郎に妻は、贅沢をしては立派な子に育たないと言い、半次郎は納得して富くじを焼き捨てる。

年が明けた1月11日、半次郎は大久保彦左衛門の屋敷で、昨年暮れの一番富に当たり主が現れないことが評判になり、町奉行から寺社奉行、老中の耳にまで入って、欲のない者を埋もれさせるのは惜しいと調べが進んでいると知る。半次郎だと分かると八十石の小人目付に取り立てられた。

吟味与力、二百石にまで出世した天保6年(1835年)10月のある日、御厩の渡しで船を待つ半次郎に商人風の男が声をかける。かつて掏摸に金を取られ、一両三分を恵まれた小僧だった。今は近江屋幸次郎という商家の主で、半次郎は座敷へ招かれる。のちに半次郎は娘の千代を幸次郎へ嫁がせ、二人は親子として暮らすことになる。

この演目を調べる・聴く

講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 講談事典瀧口雅仁丸善出版2023年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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