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講談の演目

曲馬団の女きょくばだんのおんな

新作一席物情け騙り女の活躍義理人情江戸

戦死した息子の許嫁と偽って香典を狙った女が、母親の情に触れて思いとどまる新作。

一席物(一話で完結する話)。系統は新作(近年に作られた講談。)

あらすじ

上野駅で新聞を読んでいた二十四、五の女が、都電で小島町まで来て一軒の家に声をかける。六十過ぎの女性が顔を出すと、自分は山崎蘭といい、壮吉と出征前に夫婦約束をした者だ、今朝の新聞で戦死を知ったので位牌か遺影を拝ませてほしいと涙ながらに言う。

母親は蘭を奥へ通す。仏壇には遺影のほかに香典が供えてあった。母親が留守番を頼んで出かけたので、蘭は香典を手に逃げようとするが、あんないい人をだますのは気が引けるとやめる。金を置いて立ち去ろうとしたところへ母親が帰り、話し相手がほしいので家にいてほしいと言われ、蘭は一緒に暮らし始める。

この家には壮太郎というやくざな弟がおり、いつも金をせびっていた。この日も五百円を求め、兄の香典があるだろうと食い下がる。蘭と話をすることになった壮太郎は、蘭が曲馬団にいたことや窃盗で捕まったことを母親に話すと脅す。栃木の刑務所で同じ房にいた女を、壮太郎は妻にしていたのだった。蘭は脅しに屈せず、逆に、その悪い女とは縁を切れと言って五百円を渡す。

しばらくして、蘭の留守にぼろぼろの軍服を着た男が訪ねてくる。死んだはずの壮吉だった。帰宅した蘭がすべてを打ち明けて詫びると、壮吉は女房になってくれという。蘭はその気持ちを受け入れ、弟の壮太郎も真人間になって、家族は暮らしていく。

成立と背景

戦後の新聞から題材を得て、十二代目田辺南鶴が読んだ新作講談。作者は新聞記者であり小説家の畑耕一とされる。弟子の田辺一鶴が引き継ぎ、現在では半ば古典として多くの講談師が読んでいる。

この演目を調べる・聴く

講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 講談事典瀧口雅仁丸善出版2023年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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