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荒川十太夫あらかわじゅうだゆう
堀部安兵衛の介錯人となった荒川十太夫が、軽輩の身を偽って名乗った負い目から毎年墓前に詫び続け、後に真実を明かして出世する一席。
一席物(一話で完結する話)。系統は赤穂義士伝(赤穂浪士の討ち入りにまつわる話。本伝・銘々伝・外伝に分かれる。)
『赤穂義士伝』の一席(外伝であり本伝)。
あらすじ
荒川十太夫は久松隠岐守に仕える五両三人扶持の身だが、剣の腕を見込まれ、吉良邸へ討ち入った堀部安兵衛の切腹で介錯を務めることになる。当日、安兵衛に名と役を問われた十太夫は、軽い身分の者が介錯では相手に失礼だと考え、とっさに「物頭役、二百石です」と偽って答える。
この偽りを十太夫は自分で許すことができず、義士の忌日が巡ってくるたびに物頭役の姿のまま泉岳寺へ足を運び、内職で貯めた金を御経料として納め、安兵衛の墓前で詫び続けた。ある年、物頭役の衣装をまとった姿を久松家の重役に見とがめられて問い詰められ、当主の前で真実を打ち明ける。十太夫は切腹を申し出るが、当主は「忠義の義士への言葉を偽りにしてはならない」と告げて本物の物頭役に任じた。十太夫は改めて安兵衛の墓前に参り、出世したことを報告したという。
成立と背景
昭和初期刊行の講談全集の一冊「赤穂義士外伝」にこの話が収録されており、そこでの演者は先代松鯉と記されていた。師匠の松鯉がこれを見つけ、先代の型のまま松之丞に伝えたという。
読み方の違い
同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。
- 同工異曲に「小川小右衛門」という演目があるとされる。浪曲にも「誉れの三百石」の題で演じられる同種の演目がある。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『講談入門』神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二、河出書房新社、2018年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

