落語の演目

崇徳院すとくいん

人情噺職人江戸上方落語が原話

別題: 皿屋、花見扇

上野で出会った娘に恋わずらいした若旦那のため、出入りの職人が歌を頼りに江戸中を捜します。

あらすじ

若旦那は一月ほど前、上野の清水堂へお詣りに行き、茶店で休んでいるとき、女中を連れた十七、八の娘に出会い、その美しさに見とれてしまいました。

娘が忘れていった茶袱紗を追いかけて手渡すと、桜の枝から短冊が風で落ちてきます。娘はそれを拾ってじっと見たあと、若旦那のそばに置いて会釈をして帰っていきました。短冊にあったのは、百人一首にも入っている崇徳院の歌「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」でした。若旦那はこれを娘の心と受け取り、恋わずらいで寝込んでしまいます。

出入りの職人・熊五郎が大旦那に頼まれて事情を聞き出します。大旦那は、娘を探し出せたら熊の住む三軒長屋をやると約束し、歌を手がかりに江戸中を捜すよう命じます。熊は毎日、床屋や湯屋など人の集まる場所で歌を大声で唱えながら捜し歩きますが、見つかりません。

一方、娘の側も同じ若旦那への恋わずらいで寝込んでおり、その屋敷でも出入りの者が総出で若旦那を捜していました。熊は床屋で、娘の側の使いの男と偶然出会い、互いに同じ歌を手がかりにしていると気づきます。相手を自分の主人のところへ連れて行こうと取っ組み合いになり、その拍子に床屋の鏡を割ってしまいます。

鏡を割ったことに床屋の親方が怒ると、熊が「心配しなくていい、割れても末に買わんとぞ思う」と、崇徳院の歌の下の句をもじって答えます。

成立と背景

「宮戸川」「おせつ徳三郎」と並ぶ、恋を主題にした世話物です。もとは上方落語の中興の祖とされる初代桂文治の作で、三代目桂三木助の東京の形が定本とされます。東京には、同じ筋立ての「皿屋」「花見扇」という別名の噺もあります。

演じてきた人

林家たい平は、二代目桂枝雀の高座でこの噺を聴き、大学生のころ頭が痛くなるほど笑って落語のすごさを知ったと述べています。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語百選 春(ちくま文庫)麻生芳伸 編筑摩書房2004年
  2. はじめて読む 古典落語百選林家たい平リベラル社2021年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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