落語の演目

廿四孝にじゅうしこう

滑稽噺親子聞き違い大家女房江戸

別題: 二十四孝

母親を蹴った乱暴者が、家主から中国の孝行話を聞かされ、真似をしてみます。

あらすじ

長屋の乱暴者が家主のところへ来て、女房だけでなく年老いた母親のぶんまで離縁状を書いてくれと言い出します。喧嘩の発端は、湯屋に行っている間に買ってきた鰺を隣の猫に食べられたことでした。男は出刃包丁を持ち出して猫に勝負しろと挑みますが、猫は屋根に逃げます。

長屋中に聞こえるように怒鳴っても誰も出てこず、出てきた自分の女房が隣の肩を持ったので男は女房を殴ります。母親が嫁をぶつなら自分をぶてと庇ったため、年寄りを殴るのはやめて、代わりに蹴とばしました。親を足蹴にしたと聞いた家主は激怒して立ち退きを言い渡しますが、男が謝ったので、親孝行を実践することを条件に許します。

家主は中国の『廿四孝』の話をいくつか聞かせます。墓前で雷から母を守ろうとした王褒、継母の望んだ鯉を求めて寒中の氷に伏せた王祥、母の欲しがった筍を雪の竹藪で探した孟宗、蚊帳が買えず自分の体に安酒を吹きかけて寝た呉猛などです。男はそのたびに、都合が悪くなるとすぐ天が感じるのだなと皮肉を入れます。

家に帰った男は母親に鯉や筍を食べさせようとしますが、川魚は生臭い、歯がないから筍は食べられないと断られます。そこへ父親と喧嘩して家を出てきた友人が通りかかり、男は生煮えの孝行話を聞かせて親孝行を説きます。友人は呆れながらも家に帰って仲直りすることにします。

男は呉猛の話をまねて、安酒を体に吹きかけて母を蚊から守ろうとしますが、酒がもったいなくなって自分で飲んでしまい、酔って裸のまま寝込みます。

翌朝、裸で寝ていたのに蚊に食われていないことに気づいた男が、これぞ天の感ずるところだと得意になると、母親が「あたしが夜っぴて煽いでいたんだ」と種明かしをします。

成立と背景

『廿四孝』は、中国の元代に編まれた孝子物語集です。日本へは室町時代に伝わり、徳川幕府が儒教を国民道徳として採ったなかで広まりました。

この噺は発端を「天災」と共有しています。家主自身がその場で説くのがこの噺で、家主の手紙を持って心学者のところへ行くのが「天災」です。長い噺なので、寄席では蚊を二階へ上げて梯子を外すというくだりでサゲることも多くあります。

演じてきた人

三代目三遊亭金馬・六代目三遊亭圓生・六代目春風亭柳橋・五代目柳家小さん・十代目桂文治といった演者がよく演じました。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語名作200席 下(角川ソフィア文庫)京須偕充KADOKAWA2014年
  2. 落語百選 夏(ちくま文庫)麻生芳伸 編筑摩書房2004年
  3. 古典落語(続)興津要 編講談社1972年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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