落語の演目

不動坊ふどうぼう

滑稽噺幽霊夫婦長屋江戸上方落語が原話

別題: 不動坊火焔

講釈師の未亡人と再婚が決まった男に、長屋の独身者たちが幽霊を出して脅かそうとします。

あらすじ

講釈師の不動坊火焔が旅興行の先で急死し、多額の借金が残されて女房は途方に暮れます。家主は、同じ長屋の働き者で小金を持つ小間物屋の男に、この未亡人との結婚をすすめ、男は二つ返事で承知します。

長屋には独身の男が大勢おり、みんな未亡人にひそかに思いを寄せていました。結婚が決まったと知って悔しがった独身者たちは、死んだ不動坊の幽霊を出して新夫婦の生活をぶちこわそうと計画します。幽霊役は金を払って別の人に頼みます。

深夜、台所の引窓から幽霊役を帯でつるして降ろす段取りです。人魂にはアルコール、鳴り物には仲間の太鼓を使うことにしますが、買いに行かせたところ聞き間違えて「あんころ」を一升瓶に詰めて買ってきてしまい、人魂の演出は失敗します。太鼓を体から外せず後ろ向きでないと梯子を上れないなど、準備からドタバタが続きます。

幽霊は勝手口あたりに中途半端にぶら下がり、せりふを忘れて屋根の上に聞き返しながら、四十九日も済まぬのに嫁入りするとは恨めしいと言います。男は、恨まれる覚えはない、借金の肩代わりまでしていると冷静に切り返し、家主の仲立ちで正式に結婚した事情を説明します。幽霊はいったん納得しかけます。

男が墓を立派に建てて法事もしてやると申し出ると、幽霊はそんな必要はない、今ここで祝儀をもらえればすぐ成仏すると言い出し、十円を受け取ります。それでもなお恨めしいと未練を見せます。

十円やってもまだ迷っているのかと聞かれた幽霊役が、宙にぶらさがっておりますと答えます。帯でつるされている状態と、未練で宙に迷うことをかけた形です。

成立と背景

もとは上方の噺で、三代目柳家小さんが東京に移しました。

しっかり者のはずの男が湯屋へ行くと浮かれてしまう、その首尾一貫しない人物の作りに、合理性より滑稽を第一とする上方落語の性格が残っています。

演じてきた人

五代目柳家小さんのあとは十代目柳家小三治、その後は三代目柳家権太楼とされます。八代目春風亭柳枝の型は、六代目三遊亭圓窓に受け継がれています。上方では二代目桂枝雀と桂文珍が演じています。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語名作200席 下(角川ソフィア文庫)京須偕充KADOKAWA2014年
  2. 古典落語(下)興津要 編講談社1972年
  3. はじめて読む 古典落語百選林家たい平リベラル社2021年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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