三年目さんねんめ
別題: 茶漬幽霊(大阪)
死に際の妻が、夫が再婚したら婚礼の晩に幽霊で出ると約束します。出てきたのは三年目でした。
あらすじ
仲のよい若夫婦の妻が死の床につきます。夫は後添いは持たないと言いますが、妻は周りに勧められていずれ後妻を迎えるだろうと察します。
妻は、それほど思ってくれるなら婚礼の晩に幽霊になって出てくる、そうすれば新しい妻は驚いて実家へ帰るだろうと言い、八つの鐘を合図にする約束をして息を引き取ります。
親類に勧められて夫は再婚します。婚礼の晩、夫は約束どおり幽霊が出るのを待ちますが現れません。二日、三日、七日と待っても出てきません。夫は幽霊などいないものと思い直し、やがて男の子が生まれます。
三年目に三回忌の法要と墓参りをします。その夜更け、八つの鐘とともに先妻の幽霊が枕もとに現れ、まだ百か日も経たないうちに後妻を持ち子までつくるとは約束が違うと恨みます。夫は、婚礼の晩に出てこなかったお前のほうが約束違反だと言い返します。
幽霊は、死んだときに親類のしきたりで髪を剃られて棺に納められたため、坊主頭で出れば夫に愛想を尽かされると思い、「毛の伸びるまで待っていました」と答えます。
成立と背景
原話は、桜川慈悲成の『遊子珍学問』(享和3年刊)です。大阪では「茶漬幽霊」の題で演じられます。
演じてきた人
橘家円喬が得意にし、近年は六代目三遊亭圓生の十八番でした。圓生は女の描き方に定評があり、その流れが三遊亭圓彌にあるとされます。
本によって違うところ
落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。
- 再婚までの間。『落語名作200席 上』は四十九日を過ぎてから親類に再婚を勧められると書き、『落語百選 夏』は「ほどなく」として日数を書いていません。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『落語名作200席 上(角川ソフィア文庫)』京須偕充、KADOKAWA、2014年
- 『落語百選 夏(ちくま文庫)』麻生芳伸 編、筑摩書房、2004年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

