落語の演目

お化け長屋おばけながや

滑稽噺怪談噺幽霊化かし合い長屋江戸

別題: 借家怪談

長屋の空き店を貸したくない古株が、いわく話で借り手を追い返します。二人目の客にはそれが通じません。

あらすじ

大家が長屋の空き店を物置に使うのを禁じたため、腹を立てた古株の杢兵衛は、借り手が来たら自分のところへ回すよう入口の住人と申し合わせ、その店を貸させないようにします。

一人目の客には、敷金も店賃もいらないと言って家に上げ、その部屋に住んでいた後家が泥棒に殺されたといういわく話を語ります。仏壇がひとりでに鳴る、障子が開く、幽霊が冷たい手で顔をなでる、と話しながら、実際に濡れ雑巾で客の顔をなでます。客は財布を落として逃げ出します。

次に来たのは威勢のいい男で、家賃がいらないと聞いて喜び、幽霊の話にも怖がらず、話に割り込んで茶化します。濡れ雑巾は逆に取り上げられ、杢兵衛が自分の顔をこすられます。男はそのまま引っ越してきます。

家賃をいらないと言った手前、長屋の者は困り、男が銭湯に行っている間に仲間を集めて仕掛けを作ります。仏壇の鐘を鳴らす者、細引きで障子を開ける者、天井裏から濡らした箒で顔をなでる者、出口で金槌を構える者と役を分けます。帰ってきた男は仕掛けどおりに怖がり、逃げるところを金槌で叩かれて、親方のところへ逃げ帰ります。

話を聞いた親方が男を連れて長屋に戻ると、次の仕掛けとして、布団に大入道が寝ているように見せてありました。親方はそれが近所の按摩だと見破ります。按摩は、寝ているだけで療治代を倍もらえると頼まれたと話します。頼んだ者たちは按摩を置いて逃げていました。

親方が「按摩を置いて逃げるとは尻腰のねえやつらだ」と言うと、按摩が「腰のほうは、さっき逃げてしまいました」と答えます。

成立と背景

空き家を借りに来る人とのやりとりで運ぶ形は「小言幸兵衛」と同じです。こちらは怪談仕立てのため、夏の高座にかかります。

母体は、寄席が始まったころの戯作者・滝亭鯉丈『滑稽和合人』とされ、古くから高座にかかっています。サゲの「尻腰」は当時の流行語で、正岡容『明治東京風俗語事典』は気概・決断力・気魄・忍耐力・気力の意味だとしています。

全体は「上」「下」の二部構成で、「下」は引っ越してきた乱暴者を脅す部分です。二度目の怪談は聴き手に仕掛けが分かっているため、演じ手がほとんどいません。

演じてきた人

六代目三遊亭圓生・三代目三遊亭金馬・三代目古今亭志ん朝が演じてきました。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語名作200席 上(角川ソフィア文庫)京須偕充KADOKAWA2014年
  2. 落語百選 夏(ちくま文庫)麻生芳伸 編筑摩書房2004年
  3. 古典落語(続々々)興津要 編講談社1973年
  4. はじめて読む 古典落語百選林家たい平リベラル社2021年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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