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淀五郎よどごろう
忠臣蔵の稽古で判官役に抜擢された下回りの沢村淀五郎が、由良之助役の団蔵に認められない屈辱を味わった末、中村仲蔵の指導を受けて役者として成長していく話。
一席物(一話で完結する話)。系統は芸道物(役者や芸人の話。役者伝ともいう。)
あらすじ
『仮名手本忠臣蔵』の稽古中に、判官役をつとめていた役者が急に倒れる。座頭の市川団蔵は、代役として下回りの沢村淀五郎を抜擢する。これによって名題へ昇進した淀五郎は、大役を任された勢いのまま、四段目の塩冶判官の役に意気込んで臨む。
ところが由良之助役の団蔵は淀五郎の判官を未熟だとして、本来近づくべき花道の場面でもそばに寄ろうとしない。屈辱と怒りに苦しんだ淀五郎は死を覚悟するほど追い詰められるが、中村座の座頭中村仲蔵から諭しと指導を受ける。指導ののち、これまでとは異なる判官を演じてみせると、それを見た団蔵も由良之助として淀五郎のそばへ近づいてくる。
団蔵(屋号三河屋)は淀五郎を厳しく叱りつける一方、仲蔵(屋号栄屋)は好々爺のように若い世代の成長を楽しみにする態度で指導にあたる。表し方は対照的だが、二人とも淀五郎を思う気持ちは同じであり、その両方に触れることで淀五郎は役者として成長していく。
成立と背景
『中村仲蔵』と対で語られることが多い芸道物である。
読み方の違い
同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。
- 松之丞の演出では、淀五郎・三河屋(市川団蔵)・栄屋(中村仲蔵)という三人の役者それぞれの心情を、モノローグの形で個別に描いている。
ほかの芸能でも演じられます
この演目は落語でも演じられています。同じ題材でも、 芸能によって筋の運びや読みどころが変わります。
- 落語「淀五郎」
急な代役で大役を任された若手役者が、共演者に相手にされない演技で悩んだ末、指導を受けて舞台を立て直す芝居噺。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『講談入門』神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二、河出書房新社、2018年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

