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鼓ヶ滝つづみがたき
鼓ヶ滝で己の歌に慢心していた西行法師が、山中の民家で出会った老夫婦と孫娘に歌を直され、三人の正体が和歌三神だったと知る話。
一席物(一話で完結する話)。系統は芸道物(役者や芸人の話。役者伝ともいう。)
あらすじ
鼓ヶ滝を訪れた西行法師は、そこで詠んだ歌をこれ以上ない出来だと思い込み、慢心していた。日が暮れて宿を探すうち、山中に一軒の民家を見つけ、八十歳ほどの老夫婦と七、八歳くらいの孫娘が囲炉裏にあたっているところへ、旅の歌詠みだと名乗って一夜の宿を求める。
老人は快く迎え入れ、鼓ヶ滝で詠んだという歌を聞かせてほしいと頼む。西行が歌を披露すると、老人はよい歌だが一か所直せばもっとよくなると言い、腹を立てながらも耳を傾ける西行に、お爺さんが上の句を、お婆さんが中の句を、孫娘が下の句の言葉をそれぞれ直すよう告げる。三人の言うとおりに語句を直していくと、もとの歌とは異なる仕上がりになった。慢心していたはずの西行は、その変わりように驚く。
驚く西行のもとに一陣の風が吹き、気がつくと民家は消え、西行は鼓ヶ滝のほとりの松の根元でうたた寝をしていた。三人は西行の慢心を諫めるために現れた和歌三神だったのであり、西行はいっそう歌道に励むようになったという。
成立と背景
六代目一龍斎貞丈が神田愛山に伝えた際、張扇を叩かずに聞かせる演目だという教えを添えたとされる。愛山はこれを神田松之丞に伝えた。
読んできた人
六代目一龍斎貞丈
読み方の違い
同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。
- 六代目一龍斎貞丈は張扇を叩かずに演じるよう教えたとされるが、神田松之丞は場面に応じて叩く場合と叩かない場合を使い分けている。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『講談入門』神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二、河出書房新社、2018年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

