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橋場の長吉はしばのちょうきち
谷風の土俵入りの行く手を横切ったために投げ飛ばされ、恥をかいたやくざ者の橋場の長吉が、仇討ちに向かった末に谷風と義兄弟の契りを結ぶ一席。
一席物(一話で完結する話)。系統は力士伝(相撲取りの話。)
『寛政力士伝』の一席(谷風の七善根の一編)。
あらすじ
元は船頭で、今は人入れ稼業に関わるやくざ者の橋場の長吉は、ある時、横綱谷風の行く手を横切ってしまう。つかみ上げられて地面にたたきつけられ、大勢の前で恥をかいた長吉だったが、自分が場所の前を横切ったのが悪いと考え、じっとこらえていた。
だが、まもなく配下の者たちが訪れ、親分・子分としての縁を切ると告げる。理由を尋ねると、谷風に仕返しをしない親分に愛想を尽かしたのだという。子分たちから盃を返された長吉は、いっそ自分が谷風への意趣返しに向かうと心を決め、家を出る。柳橋にある船宿、武蔵屋に居候していたところ、深川へ渡る船を頼みたいという谷風がそこを訪れる。長吉は自ら船頭として船に乗り込み、その船上で谷風の命を狙った。
これを聞いた谷風は、自分こそ弟だと言い、長吉と義兄弟の契りを結んで、その貫禄を取り戻すと告げる。谷風は人前でも長吉を大切に扱うようになり、長吉の名はかえって高まったが、まもなく長吉はやくざの暮らしをやめ、堅気の身となった。
成立と背景
「橋場の長吉」は「越の海」とともに「寛政力士伝」のうちの人気作とされ、谷風の善行を描く「谷風の七善根」の一編とされる。作者は四代目真龍斎貞水(早川貞水)とされる。
読み方の違い
同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。
- 原作では長吉は最後に米屋になるが、松之丞は自身の高座で長吉を豆腐屋に変えて演じている。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『講談入門』神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二、河出書房新社、2018年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

