落語の演目

宿屋の仇討やどやのあだうち

滑稽噺旅噺武士戦時中の禁演落語

別題: 宿屋仇

旅の宿屋で、隣室の三人組の騒ぎに悩まされた侍が、仇討ちだと偽って一同を黙らせる一夜を描く。

あらすじ

ある宿屋に、静かな部屋を望む侍がやって来た。前の晩に泊まった宿で、巡礼の夫婦や駆け落ちの男女と同室になり眠れなかったためだという。番頭がその願いを聞き入れた直後、江戸から来た若い三人連れが隣の部屋に入り、芸者を呼んで酒盛りを始め、やがて相撲まで取り出して騒ぎが収まらなくなる。

布団に入ると、三人のうちの一人が三年前の出来事を語り出す。川越にある伯父の小間物屋を手伝っていたころ、ある武家の妻と関係を持ってしまい、それを知った夫の弟に切りかかられたが、逆に相手を殺してしまい、五十両を持って姿をくらませたという。さらに、一緒に逃げていた相手の女がのちに足手まといとなり、命を奪ったことも打ち明けた。それを聞いていた仲間の二人は、この告白をからかい半分にはやし立てる。

隣室の騒ぎと囃し立てる声を聞いた侍は番頭を呼びつけ、自分こそ話に出てきた武家の当人であり、隣室の男が自分の妻の仇に当たると告げる。明朝、宿の外で対決するので、それまで男を逃さぬようにと言い渡したため、宿の者たちは三人を縄で縛ってしまう。

翌朝、番頭が縛られた三人の処遇を尋ねると、侍は「あれは座興じゃ」と答え、大げさに言っておかないと自分がゆっくり眠れないからだと明かす。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 古典・新作 落語事典瀧口雅仁丸善出版2016年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

← 落語の演目一覧へ