落語の演目

金明竹きんめいちく

滑稽噺言い立て与太郎上方江戸

上方言葉の早口の口上を、与太郎もおかみさんも聞き取れないまま取り次ぎます。

あらすじ

道具屋の主人のもとで働く与太郎は、粗相ばかりして叱られています。主人は、物を貸してほしいと頼まれたときの断り文句を教えますが、与太郎は猫を借りに来た使いにそれをそのまま使ってしまいます。主人が別の断り文句を教え直すと、今度は鑑定を頼みに来た使いにその文句を使ってしまいます。

あきれた主人は自分で出かけることにし、店番を与太郎に任せます。留守中、中橋の加賀屋佐吉方から使いの男が訪れ、預けてある道具七品についての言伝を、早口の上方言葉で長々と述べます。

与太郎はまったく理解できず、取り次ぎもできません。おかみさんが応対して聞き直しますが、使いは同じ口上を繰り返すだけで、内容がわからないまま帰ってしまいます。帰宅した主人が尋ねると、おかみさんは聞き取れた断片をつなぎ合わせて、要領を得ない説明をします。

主人が道具七品を「買ったのか」と尋ねると、おかみさんは口上に出てきた「古池や蛙とびこむ水の音」の蛙を覚えていたため、「買わず(蛙)でございます」と答えます。

成立と背景

演目名の「金明竹」は、口上に出てくる道具のひとつで、中国から伝わった竹の名です。黄金色の幹に緑の縦筋が入り、観賞用に珍重され、幹や枝は筆の軸や煙管の羅宇にも使われました。

口上に並ぶ道具の名は、次のとおりです。「祐乗・光乗・宗乗」は金属彫刻師・後藤家の初代から三代、「備前長船の則光」は備前長船の刀工一派、「横谷宗珉」は江戸中期の金工、「のんこの茶碗」は京の楽焼三代目・道入の作、「風羅坊」は松尾芭蕉の雅号のひとつです。

演じてきた人

林家たい平は、前座のころにこの噺の稽古をつけてもらい、口上に出てくる道具七品を一品ずつ教わったことが今につながっていると書いています。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語百選 夏(ちくま文庫)麻生芳伸 編筑摩書房2004年
  2. 古典落語(大尾)興津要 編講談社1974年
  3. はじめて読む 古典落語百選林家たい平リベラル社2021年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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