落語の演目

五人廻しごにんまわし

廓噺銭勘定吉原江戸

別題: 五人まわし、五人回し

花魁が回ってこない客たちが、若い衆に思い思いの文句を並べます。

あらすじ

吉原には「廻し」という仕組みがあり、女郎がひと晩のうちに何人もの客を掛け持ちして相手をします。ある客が、花魁の喜瀬川がなかなか回ってこないのを待たされて苛立っています。隣の部屋はうまくいっている様子が聞こえてきて、なおさら腹が立ちます。

客は、女郎は高い金を前払いさせられるのに来るかどうか分からない、それに比べて女房は安いものだから大事にしようと愚痴をこぼします。謝りに来た若い衆に廓の決まりを持ち出されると激怒し、吉原の由来を長々とまくしたてます。元和三年に庄司甚右衛門が公儀に願い出て許され、葺屋町の廓が三十八年後に浅草へ移って新吉原になり、明治五年に女郎屋が貸座敷と名を変えたという話です。

続いて、兼好法師の言葉を引きながら皮肉を言う客、自称江戸っ子の田舎者、ヤケになって花魁を捜すと言って部屋の畳を上げて騒ぐ客と、思い思いの文句を並べる客が次々に登場します。

最後に、喜瀬川を独占していた田舎の大尽客が出てきます。若い衆が、花魁を少し他の客にも回してやってほしいと頼みますが、大尽は自分のそばを離れない喜瀬川に満足しています。他の客が玉代を返せと言っていると知ると、大尽はその玉代を肩代わりして払い、他の客に帰ってもらうよう頼みます。

喜瀬川は大尽にもう一人ぶんの玉代を余分に出させ、それを受け取ったうえで、あらためて大尽本人に手渡し、おまえさんも一緒に帰っておくれと言います。

成立と背景

「廻し」は吉原だけの仕組みです。京都や大阪の遊廓では、その晩登楼すれば朝まで他の客をとらなかったのに対し、吉原では一人の女郎が何人もの客の相手をしました。

筋のない廓噺の断章をつないだ形で、演じる順番や切り上げ方は自由です。題の「五人」はそれほど多数のという意味で、必ずしも五人ぶんすべてを演じる必要はありません。

吉原は、江戸で一日千両の金が動くと言われた芝場所の一つに挙げられていました。昭和33年(1958年)3月31日をもって、法律により廃止されました。

演じてきた人

五代目古今亭志ん生・六代目三遊亭圓生・立川談志・三代目古今亭志ん朝が、それぞれの持ち味で演じてきました。冒頭の独白を五代目志ん生のマクラをもとにした形もあります。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語名作200席 上(角川ソフィア文庫)京須偕充KADOKAWA2014年
  2. 落語百選 秋(ちくま文庫)麻生芳伸 編筑摩書房2004年
  3. 古典落語(続)興津要 編講談社1972年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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