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講談の演目

天明白浪伝てんめいしらなみでん

白浪物連続物盗み変装義理人情意地殺し江戸

天明年間の江戸で、大泥棒・神道徳次郎の率いる一党が各地で盗みを重ねながら西へ流れ、長崎で捕り方に囲まれるまでを描く連続物。

連続物(何席にもわたって続く長い話)。全10席。系統は白浪物(泥棒の話。)

あらすじ

天明年間、浅間山の噴火などで社会が不穏になる中、江戸の治安も大きく乱れていた。市井には大小の盗賊が横行していたが、なかでも幕府役人や旗本の屋敷ばかりを狙う大泥棒・神道徳次郎の率いる一党が際立っていた。

学問も度胸もある徳次郎を首魁に、大胆不敵な稲葉小僧新助、女に弱いむささびの三次、色男の八百蔵吉五郎など、一癖も二癖もある泥棒たちが集う。義理人情や男の意地にかられて犯行を重ねるが、お上の探索は日に日に厳しさを増していく。

一党は江戸を逃れ、それぞれ盗みを重ねながら西へ西へと流れていく。ついに長崎で一堂に会するが、丸山の遊廓で捕り手に囲まれ、大立ち回りとなる。

各席

10

手元の本に題と筋が載っている席だけを並べています。席の分けかたと題は演者によって変わります。

  1. 1. 徳次郎の生い立ち十五歳の神道徳次郎は、市中を引き回されている罪人の天狗小僧霧太郎に、ある日たまたま出くわす。磔にされる大泥棒に泣きながら手を合わせる庶民の姿を見て「太く短く世を送ろう」と決心し、剣術と易の師匠の家に盗みに入る。
  2. 2. 稲葉小僧大名屋敷を専門に狙う稲葉小僧新助は、佐賀鍋島家の江戸屋敷への忍び込みに失敗して怪我を負い、そのまま吉原に身を隠す。だが役人に見つかりそうになり、頼った先が神道徳次郎で、その手引きによって八王子方面へと落ち延びていく。
  3. 3. 金棒お鉄法外な取り立てに耐えかねた貧乏長屋の大家や店子たちが、ついに強欲な金棒お鉄へ一斉に反撃に出る。亭主が病床にあっても容赦しないそのやり口に日頃から怒りを募らせていた面々で、お鉄はさんざんな目に遭って逃げ帰るしかなかった。
  4. 4. むささびの三次稲葉小僧新助は義兄弟のむささびの三次を誘って麻布古川の祥香寺に押し入り、住職を手にかけて八十両を分け合う。三次はまた鍛冶屋の女房お時とも通じており、亭主に襲われるとこれを撲殺し、お時をも巻き添えにして死なせてしまう。
  5. 5. むささびの三次〜召し捕り客を装って現れたむささびの三次を怪しみ、お上に通報して獄門送りにした金棒お鉄だったが、それからほどなくして、今度は稲葉小僧がその見世に踏み込み、お鉄を斬り捨てることになる。
  6. 6. 悪鬼の萬造神道徳次郎の正体を役人にばらしたのは、かつて徳次郎の世話になっていた萬造だった。上総屋長兵衛と名乗る徳次郎の後押しで、盗み仲間の半助とともに遊女屋を開いたはいいが、萬造の放蕩が収まらず半助が見切りをつけて店をたたむと、説教された腹いせに徳次郎を売ってしまう。
  7. 7. 首無し事件四十を過ぎても女性と縁のなかった小間物屋の十兵衛と、浜松の質屋・四方田屋の娘おもよとが祝言を挙げるはずだった当日、花嫁になるはずのおもよの首のない遺体が見つかる。旅の途中で武士に身をやつしていた神道徳次郎と稲葉小僧新助が、この一件の謎を解き明かす。
  8. 8. 八百蔵吉五郎呉服を商う店の若主人が、両国の水茶屋で働く娘お花に恋をし、やがて父親にも二人の仲を認めてもらえるようになる。実のところこの若主人の正体は盗賊の八百蔵吉五郎で、追っ手が近づいていると知った父親は、娘の思いをくみ取ってひそかに二人を逃がしてやる。
  9. 9. 岐阜の間違い大垣の大尽の屋敷に忍び入った神道徳次郎と稲葉小僧は、250両を持ち出す。ところが近くの茶店の老人が疑われて牢に入れられる。二人は地雷火で牢を焼き、老人を逃がしたうえ200両を与える。
  10. 10. 大詰め勢揃い神道徳次郎とその一味は、江戸を追われた末に大垣へたどり着き、そこからさらに大坂を目指すが、大坂にも長くとどまれず、今度は船に乗って長崎へ向かう。手配書がすでに当地まで回っており、勢揃いした一党は丸山遊廓を舞台に大立ち回りを演じる。

成立と背景

師匠松鯉が二代目山陽から受け継いだ段階では八話しかなく、その後、六代目一龍斎貞丈より「八百蔵吉五郎」の一話を、田辺一鶴門下の田辺波浪より「徳次郎の生い立ち」の一話を取り入れることで、十話構成の連続講談に仕立て直された。

読んできた人

「首無し事件」については大師匠・二代目山陽の音源が残っている。

読み方の違い

同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。

この演目を調べる・聴く

講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 講談入門神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二河出書房新社2018年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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