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青龍刀権次せいりゅうとうごんじ
背中の彫り物から青龍刀権次と呼ばれる男が、芸者殺しの侍を金で見逃した過去を抱え、幕末から明治にかけてその相手にゆすりを仕掛けては裏切られ、ついに盗賊となる話。
一席物(一話で完結する話)。系統は白浪物(泥棒の話。)
あらすじ
権次は背中に彫った関羽の彫り物にちなみ、青龍刀権次と呼ばれているが、勇ましい名とは裏腹に気の弱い男である。ある年の瀬、博打に負けて帰る途中、薩摩藩の侍が芸者を殺す場面に行き会う。御用だと声をかけるものの、侍から金を渡されるとその場を見逃してしまう。翌日、芸者殺しを見逃した一件が明るみに出て、権次は捕らえられる。
三年の牢暮らしを終えて出てみると、世の中はすでに幕府が倒れて様変わりしていた。伝手もなく料理屋に雇われるが、そこへ現れた官軍の大隊長は、かつて自分が見逃した、あの芸者殺しの侍その人だった。権次は今戸橋にこの大隊長を呼びつけ、口止め料をゆすり取ろうとする。三百両を得るが、それが偽金だったため権次は再び捕まる。
さらに八年の後に出所すると、ちょんまげ姿の者もいなくなるほど世の中が変わっていた。権次は馬車に乗ったかの大隊長と再び行き会い、無理やり屋敷までついていく。大隊長は今や陸軍中将黒田清隆と名乗り、過去を口止めするための大金を差し出そうとするが、人殺しが出世する世間のあり方に権次はあきれ、行方をくらませる。その後、権次は盗賊となり世間を騒がせる存在になる。幕末から明治にかけての物語であり、本来は長編の連続物として語られる中の、序盤の一部にあたる。
成立と背景
長編の連続物のうち、導入にあたる「序開き」だけを独立させて演じる形が一般的だという。二代目神田山陽の持ちネタで、三代目神田山陽も演じている。浪曲師の玉川太福も「権次」を連続口演している。
読んできた人
二代目神田山陽
読み方の違い
同じ演目でも、演者によって細部が変わります。分かっている違いを並べています。
- 神田松之丞と玉川太福がリレー形式で演じた際、宿の名前や金額など細部の設定が演者によって異なっていた。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『講談入門』神田松之丞/編・文 長井好弘/写真 橘蓮二、河出書房新社、2018年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

