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講談の演目

田宮坊太郎たみやぼうたろう

武芸物連続物敵討ち剣術修行お家騒動実説紀州江戸

別題: 金比羅利生記

父の非業の死を知った田宮坊太郎が、柳生飛騨守の指南のもとで剣術を修め、18年の後に父の敵堀源太左衛門を討つまでを描く仇討ち物語。

連続物(何席にもわたって続く長い話)。系統は武芸物(剣豪・武芸者の話。)

あらすじ

田宮坊太郎の父源八郎は、紀州藩の家老四宮甲斐守の子に生まれ、肥前唐津の郷士田宮蔵人の養子となって田宮流小太刀を継いだ。実父の甲斐守は、藩主頼宣に重んじられる家老安藤帯刀に対抗心を燃やし、鉄砲新調の一件で先を越されたことなどから恨みを深め、甥の不始末に乗じて厳罰を主張し、のちに帯刀の毒殺や刃傷まで企てて露見し、切腹のうえ家は取り潰しとなった。源八郎は父の仇と思い定めて安藤帯刀を訪ねるが、帯刀の人柄と、家の再興に尽くしてくれた恩を知り、仇討ちを思いとどまった。

養家に無断で出た身ゆえ田宮の家には戻れぬと考えた源八郎は、四国・九州で新たな仕える先を探す旅に出る。その途上、金比羅参りの船で乗り合わせたおつじという娘を二度にわたって助け、夫婦となった。おつじは表向き百姓の娘だが、実は大坂夏の陣で敗れて果てた土佐の大名長曽我部盛親の娘で、家臣大杉左近のもとに匿われていた。二人の仲むつまじさは、丸亀藩の剣術指南役堀源太左衛門の恨みを買う。源太左衛門はかつておつじへの縁組を望んで断られており、横合いから源八郎に妻を得られたことを深く根に持っていた。

剣の腕を上げ足軽らの指導にもあたる源八郎に対し、源太左衛門は自分の高弟が打ち負かされたことを知って憎しみを募らせ、のちに源八郎が不意に体勢を崩した隙をとらえ、正々堂々の勝負によらず討ち果たした。城代生駒将監はこの事実を、残された妻おつじに人目を忍んで告げるが、幼い息子坊太郎には話さぬよう言い含める。物陰でこれを聞いてしまった坊太郎は、父の死の真相を知り、ひそかに敵討ちを心に誓う。

坊太郎は寺に預けられていたが、江戸へ出て柳生飛騨守宗冬の指南を受けたいと母に願い出て、ひそかに出立する。おつじは、本懐を遂げるまで親子と思わぬようにと厳しく送り出した。飛騨守のもとで長年修行を積んだ坊太郎は、13歳の頃に敵討ちの願いを打ち明け、後ろ盾を得る。元服して田宮小太郎国宗と名乗った坊太郎は、父の命日に、将軍名代岡部内膳正の立ち会いのもと、父が討たれたのと同じ境内で源太左衛門と対決し、これを討ち果たした。国宗はのちに水戸家に仕え、徳川光圀の剣術指南役を務めたが、22歳で病没したという。

本の章立て

44

『講談名作文庫』(講談社)の本文に出てくる見出しを、本の並びのまま挙げています。この巻の章は、話の中の場面を指しています。筋はここには書いていません。印の付いたものは、文字の読み取りに確信が持てなかった題です。

  1. 世の中は寸善尺魔
  2. 再軍備なぞとは世論がうるさい
  3. 酒の肴に剣の舞
  4. あっ、お家の重宝が真っ二つ
  5. 謙信と信玄、乗合船でドタンバタン
  6. 仲人は時の氏神
  7. 下手人の株はお返し申す
  8. 美女と美男が連れ立っ奇縁
  9. 止めて止まらぬ中らくの恋*
  10. 重なる奇縁に驚く人
  11. 城代家老がびつくり仰天
  12. 妻をめとらば才たけて
  13. 聞いてびつくりの良縁
  14. とんびにさらわれた油揚げ
  15. 吹けば飛ぶかんなくず野郎
  16. 恋の遺恨に弟子の遺恨
  17. 石燈籠の頭をポカボカ
  18. はてさて下手くそな師範代
  19. 卑怯なる源太左衛門
  20. 産湯が先か湯かんが先か
  21. 坊や坊やで、坊太郎
  22. あわれ母子の水垢離祈願
  23. お袖の下を小坊主の通り魔
  24. 面部を望んでばっと茶わんを
  25. 修行の旅、母子涙の別れ
  26. けんかのすきにまんまと乗船
  27. 副将軍と飛騨守に符節を合わす夢枕
  28. 極道から急旋回の大発心
  29. 天下の一大事とばかり大久保彦左*
  30. 剣聖但馬が老いの目に涙
  31. 不孝を詫びる二蓋笠のほまれ
  32. 師範代をぼかりと一打ち
  33. 雨の降る夜の胆ためし
  34. 水戸さまのお声がかりで元服
  35. 金が目的の色目と知らず
  36. 尽きぬ悪縁、輪廻の糸
  37. あれーと一声、娘の悲鳴
  38. 敵と知らで妹背のちぎり
  39. 強情我慢の源太左衛門
  40. 愛の笞、情けの勘当
  41. 見事に的中、足どめの計略
  42. おおつ、そなたは空仁、坊太郎
  43. えいと一声、唐竹割り
  44. 芳名永久にかんばしく

成立と背景

本文中では、この仇討ちの実現に将軍徳川家光・水戸藩主徳川頼房・柳生飛騨守宗冬の三人が後ろ盾になったと伝える。仇討ち後、田宮小太郎国宗(坊太郎)は水戸家に召し抱えられて徳川光圀の剣術指南役を務めたが、若くして病没したという。末尾には金比羅利生記という書名も併記されている。

この演目を調べる・聴く

講談は演者によって筋や読み方の細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 講談名作文庫(真田幸村・水戸黄門・大岡政談・柳生旅日記・赤穂義士銘々伝・太閤記・鼠小僧次郎吉・いれずみ奉行・弥次喜多道中記・寛永三馬術・清水次郎長・塚原卜伝・大久保彦左衛門・雷電為右衛門・左甚五郎・幡随院長兵衛・田宮坊太郎・国定忠治・一休和尚漫遊記・伊達騒動・天保六花撰・快傑自来也・由井正雪・荒木又右衛門)講談社 編講談社1976年(電子版 2013〜2014年)

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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