落語の演目

紙入れかみいれ

滑稽噺間男夫婦女房江戸

旦那の妻と通じていた男が、証拠の入った紙入れを忘れてきます。翌朝、旦那に打ち明けます。

あらすじ

若い男の新吉は、世話になっている旦那の家に出入りし、旦那の留守にそのおかみさんと通じていました。ある夜、外泊するはずだった旦那が急に帰ってきて、新吉はおかみさんに促されて裏口から逃げ出します。

逃げた新吉は、旦那からもらった紙入れを置いてきたことに気づきます。中にはおかみさんからの手紙が入っていました。夜逃げまで考えますが、まず翌朝もう一度様子を見に行くことにします。

翌朝、新吉が訪ねると旦那はいつもどおりです。顔色の悪さを問い詰められた新吉は、世間に顔向けできないことをしたと切り出し、人の妻と通じたこと、紙入れを忘れてきたことを順に打ち明けます。旦那は、主ある身には手を出すなと忠告し、そういう手紙はすぐ破いてしまうものだとたしなめます。

旦那はおかみさんを呼び、新吉が紙入れを忘れてきたことを話します。おかみさんは平然として、旦那の留守に男を引き込むほどの自分が紙入れの始末に抜かりはないと新吉に請け合います。

旦那が、たとえ紙入れがそのあたりに出ていたとしても、自分は女房を取られるような間抜けな亭主だからそこまでは気がつくまい、という趣旨のせりふで終わります。

成立と背景

間男物の代表格とされます。東大落語会編『落語事典』に収める約1200編のうち、半数以上が艶笑・バレ噺です。同じ系統としてよく演じられる噺に「返し馬」「風呂敷」「蛙茶番」「疝気の虫」「なめる」があります。

不倫を悲劇として描く伝統は、近松以来のものです。この噺では、マクラで都々逸を紹介する演出があります。

演じてきた人

旦那と新吉のやりとりは六代目三遊亭圓生の口演が知られ、圓生自身は若い時分にやる噺ではないと語っていました。三代目古今亭志ん朝と四代目三遊亭圓遊の演出もあります。林家たい平は、女の描き方が生々しくなりやすい難しい噺で、歳を重ねた師匠の高座のほうが好みだと述べています。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 落語名作200席 上(角川ソフィア文庫)京須偕充KADOKAWA2014年
  2. 落語百選 夏(ちくま文庫)麻生芳伸 編筑摩書房2004年
  3. はじめて読む 古典落語百選林家たい平リベラル社2021年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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