柿取りかきとり
隣家の柿の枝をめぐる行き違いから、夫婦げんかと隣近所の騒ぎに広がる話。
あらすじ
車夫の重助はもと士族で、隣に住む弁護士の青木黒造も同じくもと士族という間柄でした。青木の家の庭から道へ張り出した柿の枝を、重助の子供に取ってくれとせがまれた女房が、仕方なく実を取ってしまいます。
これがもとで重助は女房と夫婦げんかになってしまい、女房はとうとう実家へ飛び出してしまいました。これを聞いた青木は、腹立ちまぎれに柿の木をのこぎりで切り始めます。
止めに入った重助に、青木は「お前が女房を実家から連れ戻さなければ、この災いのもとになった木を切ってしまうぞ」と告げました。困った重助は、しかたなく女房を連れ戻しに向かいます。
翌日は大みそかで、多くの掛け取りが青木の家を訪れます。支払いのめどが立たない青木は、書生の周吉に「先生は留守でございます」と言わせて、次々に追い返させていました。
そこへお礼を言いに重助の女房が訪ねてきたときも、青木は同じように留守だと言って断らせてしまいます。「重助さんの奥さんをなぜ中へ通さないのだ」と問われた周吉は、こう答えました。「あれもカキ取りです」
成立と背景
この噺は、明治四十年四月に発行された雑誌「文芸倶楽部」の「落語十八番」という記事の中に、演者の曽呂利新左衛門による速記だけがぽつんと残されている、資料の少ない噺です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

