落語の演目

転宅てんたく

滑稽噺泥棒化かし合い江戸

妾の家に忍び込んだ泥棒が、夫婦になろうと持ちかけられて有頂天になり、金まで置いて帰ります。

あらすじ

浜町あたりの妾の家に、旦那が帰った直後、泥棒が忍び込みます。台所に残っていた酒や料理を勝手に飲み食いしているところを妾に見つかります。泥棒は刀を持っていると凄みますが、実は忘れてきたと白状してしまう間の抜けた男です。妾は怖がるどころか、からかうような態度を見せます。

妾は、旦那からもらった金を盗まれたことにして次の旦那を探す口実にしようと考え、自分も昔は泥棒仲間だったと持ちかけて、泥棒に夫婦の約束までさせてしまいます。泥棒はすっかりその気になり、偽の名を名乗って三々九度の真似で酒を酌み交わします。

泥棒が今夜泊まっていくと言い出すと、妾は二階に強い用心棒がいる、隣には巡査が下宿していると言って脅し、泥棒を怖気づかせて追い返します。持っていた紙入れは、明日まで預かると言って取り上げ、翌日また来るよう約束させます。

翌日、約束どおり泥棒が訪ねると、家はもぬけの殻でした。隣のたばこ屋に尋ねると、前夜の顛末を聞かされます。妾は間抜けな泥棒をあしらっただけで、二階の用心棒も嘘、家は平屋で二階すらありませんでした。泥棒が帰ったあとに怖くなった妾は旦那を呼び、その日のうちに家財を片付けて引っ越していました。

たばこ屋から、その妾はもとは義太夫の師匠だったと聞かされた泥棒が、道理でうまく語りやがったとつぶやきます。騙ると語るをかけた形です。

成立と背景

サゲは、騙ると語るをかけた地口です。義太夫などの浄瑠璃は、唄うではなく語るというものです。都合が悪くなれば引っ込めるはずのタライが庭に出しっぱなしなので入れずにいた泥棒が、転宅を洗濯と聞いて納得するというサゲの形もあります。

似た筋の噺に「のめる」があります。この噺のほうが、ずっと単純な筋です。

演じてきた人

三代目三遊亭金馬が演じ、泥棒の間抜けぶりの表現では十代目柳家小三治、六代目古今亭志ん橋の泥棒も知られます。

本によって違うところ

落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 古典落語(下)興津要 編講談社1972年
  2. はじめて読む 古典落語百選林家たい平リベラル社2021年
  3. 落語名作200席 下(角川ソフィア文庫)京須偕充KADOKAWA2014年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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