のめるのめる
別題: 二人癖
「一杯飲める」と「つまらねえ」が口癖の二人が、言わせたら罰金という約束をします。
あらすじ
仲のよい二人には、互いに気になる口癖がありました。一人は何かにつけて「一杯飲める」と言い、もう一人は何かにつけて「つまらねえ」と言います。二人は口癖を直そうと約束し、言ってしまったほうが相手に罰金を払うことにします。
「のめる」が口癖の男は隠居に相談し、相手に「つまらねえ」と言わせる計略を授かります。糠だらけの格好で訪ね、練馬の親類からたくあん用の大根を百本もらったが醤油樽に全部入るかと調子よく尋ねれば、思わず「詰まらない」と答えるはずだという策です。
やってみると、相手は入りきらねえ、残るなとうまくかわして口癖を言いません。しかも、伊勢屋の婚礼に呼ばれたと言って出かけようとするのを見て、仕掛けた側が「それじゃ一杯飲めるな」と口にしてしまい、自分の口癖で罰金を取られます。
男は隠居に再度相談し、今度は将棋好きの相手を当てにした計略を授かります。将棋盤に王将と歩・桂・香・金・銀の駒を並べて考え込むふりをし、聞かれたら所沢の男が考えた詰め将棋だと答えるよう仕込まれます。通りかかった相手は夢中になりますが、いくら考えても分からず、思わず「いつまでやってもこの将棋は詰まらねえ」と口癖を言ってしまい、罰金を取られます。
引っかかった相手は、その知恵に感心して罰金の倍額を渡そうとします。それを受け取った男が思わず「ありがてえ、一杯飲める」と口を滑らせ、相手が差っ引いておくぜと言ってその分を引いてしまいます。
成立と背景
別名を「二人癖」といいます。前座噺風の噺で、六代目三遊亭圓生は二つ目どころが演じる演目と位置づけていました。
演じてきた人
六代目三遊亭圓生は、この噺を二つ目どころの演目と位置づけていました。
本によって違うところ
落語は演者や本によって細部が変わります。読んだ本の記述が食い違ったところは、どちらかに決めずに並べています。
- どちらがどの口癖か。『古典落語(大尾)』は隠居に相談する側(八つあん)が「のめる」、熊が「つまらねえ」です。『はじめて読む 古典落語百選』は逆で、熊が「のめる」、八つあんが「つまらねえ」です。『落語名作200席 下』は名前を出していません。
- 罰金の額。『落語名作200席 下』『古典落語(大尾)』は一円(サゲでは倍の二円)、『はじめて読む 古典落語百選』は百文(サゲでは二百文)です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『落語名作200席 下(角川ソフィア文庫)』京須偕充、KADOKAWA、2014年
- 『古典落語(大尾)』興津要 編、講談社、1974年
- 『はじめて読む 古典落語百選』林家たい平、リベラル社、2021年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

