落語の演目

人身御供ひとみごくう

滑稽噺江戸

人身御供に選ばれた家で、村人が虫拳を見せて気を紛らわせる話。

あらすじ

ある山里の名主・茂左衛門の家に、人身御供に選ばれる印である白羽の矢が立ちました。選ばれた家は娘を差し出さなければ家がつぶれるといわれています。

村の左吾蔵と源十郎が見舞いに訪れると、家の中はまるでお通夜のような重い空気でした。二人は気を紛らわせようと、江戸で覚えてきた拳遊びを見せます。親指をカエル、人差し指をヘビ、小指をナメクジに見立て、ヘビはカエルに強く、カエルはナメクジに強く、ナメクジだけがヘビに強いという趣向でした。

そこへ、巡礼の道中で母を亡くし、茂左衛門のもとに引き取られて育ったお松という娘が、実の娘であるお花の身代わりに人身御供になりたいと願い出ます。

茂左衛門は、夢に観音様が現れてお松を身代わりに出すよう告げられたことを思い出し、お松に白装束を着せて山中のほこらに置いて帰りました。

夜が明けても心配で眠れなかった茂左衛門が山へ様子を見に行くと、お松は無事で一心に観音経を唱えていました。「よく無事だったなあ」と声をかけると、お松はこう答えます。「夜中に大雨が降り出し、酒樽ほどもある太いヘビが私をひと呑みにしようとしました。そこで観音様のお告げのとおり小指を出して九字を切りますと、ヘビの姿が消えてしまいました」

茂左衛門はうなずいて言いました。「ああ、わかった。ヘビが逃げたわけだ。お松さんが小指を出したから」

成立と背景

明治から大正にかけて五明楼春輔という演者が手がけためずらしい噺で、昭和四十四年十月には柳亭燕路が本牧亭の独演会で演じました。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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