ざこ八ざこはち
別題: 先の仏、二度のごちそう
婚礼の晩に姿を消した男が十年後に戻り、傾いた店と娘を建て直す人情噺。
あらすじ
雑喉場の魚商ざこ八の一人娘お絹との婚礼の晩、鶴吉は姿を消してしまいました。十年ぶりに戻ってみると、ざこ八の店はつぶれています。
仲人だった桝屋新兵衛に聞くと、その後に鶴吉によく似た養子が入ったものの、遊びと米相場のために家屋敷は人手に渡り、養子は病で死に、残されたお絹も物乞い同然の暮らしをしているといいます。もとはといえばおまえのせいだと言われました。
鶴吉は自ら望んで再び養子に入り、身を粉にして働いて、ざこ八の看板を掲げ直すまでに立て直します。さらに十年のあいだにためた二百両で米相場を張り、これが当たって大きな身代を築きました。お絹の体も手を尽くして元どおりになります。
出入りの商人も増え、魚屋が新しい魚を持ち込むと、お絹はきょうは先の仏の精進日だから魚はいらないと言いました。鶴吉は精進日ではないから置いていけと言い、お絹が大事な先の仏の精進日だと言い張ったので、鶴吉の気にさわって夫婦げんかになります。
間に入った魚屋が、おかみさんが先の仏先の仏と言うから今の仏が怒ってしまう、となだめました。
その後、鶴吉は板前を大勢呼んで魚の料理をこしらえ、店の者に大盤振る舞いを始めます。お絹も負けじと精進料理を振る舞いました。店の者は喜んで詰め込みますが、両方を食べさせられて、二度のごちそうにへばってしまいます。
無理に食べ切り、やっとのことで下駄をはいて外へ出ると、足もとに誰かいます。食べすぎて動けなくなった人かと思えば、物乞いでした。「えっ、おなかがすいてる? ああうらやましい」。
成立と背景
前半を「先の仏」、後半を「二度のごちそう」と呼んで別々に演じることがあります。いずれも上方の噺です。
原話は、前半が安永二年に出た『聞上手』の「二度添」、後半が明和九年に出た『楽牽頭』の「大食」です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

