落語の演目

五人政談ごにんせいだん

滑稽噺上方落語が原話お裁き番頭船頭

別題: 五人裁き

忘れた五十両をめぐる番頭の出来心と、それを見ていた船頭のお裁きの話。

あらすじ

大阪安堂寺町一丁目にある菊屋治兵衛という酒屋で一杯やった天王寺村の百姓久兵衛が、五十両入りの包みを置き忘れて帰ってしまいました。番頭の清兵衛がこれを見つけ、つい悪心を起こしてふところへしまい込みますが、そのようすを外から船頭の幸兵衛が見ていました。

あわてて戻ってきた久兵衛が金を忘れたと訴えても、清兵衛は知らないと突っぱねます。がっかりした久兵衛は川へ身を投げようとしますが、あとをつけてきた幸兵衛に助けられました。

わけを尋ねると、五十両は借金の返済にあてようと、娘が新町の遊郭に身売りしてこしらえた金だといいます。これを聞いた幸兵衛は奉行所に訴え出ました。呼び出されたのは、幸兵衛、百姓の久兵衛、番頭の清兵衛、店の主人治兵衛、そして新町の廓の播磨屋金兵衛の五人です。

奉行の裁きにより、菊屋治兵衛が五十両を払って久兵衛の娘を身請けしたうえで久兵衛のもとへ帰し、番頭の清兵衛は十年間無給で奉公することになりました。船頭の幸兵衛には、青ざし十貫文のほうびが与えられることになります。

幸兵衛が「銭ほしさにお上に願い出たのではございません」と辞退しようとすると、奉行はこう言いました。「そう申すな。その方の正直なること、上においては明白である。正直の幸兵衛に神やどるじゃ」

成立と背景

上方に古くから伝わる噺で、二代目桂米団治がとりわけ得意な演目として、若いころから好んで高座にかけていたと伝えられています。長年演じ続けた持ちネタのひとつでした。

この物語の発端となる酒屋の場面は、天保の時代に語り継がれた怪談である「正直清兵衛」という話の筋立てによく似ていると指摘されています。怪談を人情噺に転じた形といえるかもしれません。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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