月並丁稚つきなみでっち
別題: 月並
覚えた口上を思い出せない丁稚が、言葉を取り違えて伝える話。
あらすじ
丁稚の定吉が、十一屋へ使いに出されることになりました。「今日は結構なお天気でございます。ご家内お揃いあそばしてご機嫌よろしゅうございますか。手前は木町の佐兵衛のところからまいりました。当月二十八日には月並の釜をかけますので、旦那さんによろしく」という口上を、やっとのことで覚え込みます。
ところが先方に着いたところで、定吉は口上をすっかり忘れてしまいました。尻をつねれば思い出すと聞いていたので、力いっぱいつねってみますが、タコができていて効き目がありません。
釘抜きを使ってつねり直すと、ようやく口上を思い出しましたが、あわてたせいで「当月二十八日には月夜に釜を抜きます」と、言葉を取り違えて伝えてしまいます。
口上を取り違えて伝えられた先方の相手は、要領を得ない顔になって、「はて、二十八日は闇夜のはずやで」と首をかしげました。
すると定吉はこう言いました。「それで旦那の言うてたのは鉄砲やった」
成立と背景
東京に伝わる「粗忽の使者」にも、尻をつねって口上を思い出すくだりがあり、よく似た上方ばなしです。月並とは、毎月決まって開く会のことをいいます。
サゲの「鉄砲」は、うそやほらという意味です。この言い回しが通じにくいため、桂春団治は分かりやすい文句に変えてサゲることがあります。
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- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

