継信つぎのぶ
別題: 初音の鼓
初音の鼓を打った殿様が、縁の下の百姓のせいで妙な答えを聞かされる話。
あらすじ
領地の者が殿様の屋敷で働きに出ることを「夫にあがる」と呼んでいました。あるとき殿様が、九郎判官義経ゆかりの初音の鼓を自慢にして「これを打てば目の前にふしぎが現れるのだ」と言い出します。
「どのようなふしぎでございましょう」と尋ねられた殿様は、実際に試してみることにしました。縁側のふすまを開けると、ちょうど夫にあがっていた百姓が、姿を見られては具合が悪いと思い、急いで縁の下に身を隠します。
それとは知らない殿様が、ためしにポツポツと鼓を打ってみると、その音が縁の下まで響きました。驚いた百姓は、思わず縁の下から飛び出してしまいます。
殿様は「どうだ、目の前にふしぎが現れたであろう。そのほうどもは何者じゃ」と問いました。百姓は「夫に参った者でがす」と答えます。
殿様が「何の夫じゃ」と重ねて尋ねると、百姓は「ただの夫で」と答えました。殿様は「初音の鼓を打って忠信が出るとはおもしろい。屋島の浦の合戦の物語をいたせ」と命じます。
百姓は「そんなむずかしいことは存じません」と正直に答えました。殿様はなおも「そちが知らねば、だれに聞けばよいのじゃ」と問い詰めます。
百姓はこう言いました。「次の夫(継信)におききなさいまし」
成立と背景
「ちり塚お松」から続けて演じることもあります。「初音の鼓」と呼ばれる話は別にもう一つあり、上方ではそちらを「ぽんこん」、この話を「継信」と呼んで区別しています。原話は、江戸で出た『茶のこもち』に収められている「歩の者」です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

