神道又しんとうまた
別題: 三年酒、神道の御酒
神式で葬りたい家と寺の押し問答の末、当人が生き返る話。
あらすじ
人別帳がまだ寺に置かれていた時代のことです。神道に凝っていた又七という男が、池田で一升もの酒を飲んで帰りましたが、翌朝になっても起きてきません。
家族はてっきり死んだものと思い込みます。又七が日ごろから、自分が死んだときは神道の作法で弔ってほしいと語っていたのを思い出し、神式で執り行おうとしましたが、寺の坊主が人別帳を握っていて許しません。
そこで、めそめそと泣き言を並べるオネオネの佐助、いばりちらすゴウマンの幸助、けんか腰で凄むゴツキの源太という三人が、順ぐりに坊主にかけあいます。結局、表向きは仏式ということにして、実質は神式ですませることになりました。
二日たって、池田のおじさんがやって来ます。実は又七は死んだのではなく、支那渡りの三年酒という酒を飲んだだけだといいます。この酒を飲んで酔うと、まる三年のあいだ死んだも同然の状態になるが、神式ですませて焼かずにおいたので、命拾いしたというのです。
驚いた一同が墓場から又七を掘り出すと、又七は目を覚まし「冷やで持って来い」と言いました。すると誰かがこう言いました。「焼かな直らん」
成立と背景
上方に伝わる話で、別名を「三年酒」「神道の御酒」ともいいます。高座では、マクラとして「由辰」という小ばなしを振ることがあります。
又七が息を吹き返すまでの一件を描いたこの噺は、寺が人別帳を管理していた時代の風俗を背景にしており、桂米朝が高座にかけています。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

