落語の演目

おせつ徳三郎おせつとくさぶろう

人情噺心中奉公人

別題: おせつ、花見小僧、刀屋、隅田の馴染め、連理の梅ヶ枝

娘と手代の仲を知った主人が二人を引き裂き、追われた二人が木場で心中を図る話。

あらすじ

ある大きな商家の主人が、年頃になった娘のおせつに婿を取らせようとしますが、おせつは何かと理由をつけては、なかなかうんと言おうとしません。主人はそのことをずっと気にかけていました。

そのうち、おせつと徳三郎が人目を忍ぶ仲になっているらしいという話が、主人の耳にも入るようになりました。主人は、花見におせつのお供をした小僧の長松を呼び出し、口止めされて渋る長松をなだめすかしてようやく白状させます。

徳三郎は暇を出されて店を追われ、おせつには改めて婿を取る話が進められることになります。徳三郎が刀屋の店先を訪れ、やたらとよく切れる刀がほしいと妙なことを言い出すので、主人が不審に思ってわけを尋ねました。

徳三郎は、おせつの祝言の席に暴れ込み、婿とおせつを手にかけたうえで自分も死ぬつもりだと打ち明けます。とんでもない了見違いだと、刀屋の主人が言い聞かせにかかりました。

ちょうどそこへ「迷子やあい」と人を捜す声が聞こえてきました。おせつが祝言の席から逃げ出し、大勢で捜し回っているというのです。これを聞いた徳三郎は表へ飛び出し、両国橋まで一目散に駆けつけました。

手を合わせていまにも川へ身を投げようとしたところへ、探し回っていたおせつ本人がちょうど駆けつけて来ます。追っ手の声になおも追われながら、二人は深川の木場にかかる橋までたどり着きました。

橋の上で「徳や、こうなったからには私はとても生きていられない」「そんなら私も御一緒に」と言い交わすと、二人はそのまま固く手を取り合い、暗い川面へ身を投げてしまいました。

ところが木場のことで、川面一帯には材木の筏がびっしりと敷き詰められていたため、二人とも死ぬに死ねずにいました。「徳や、死ねないね」「今のお材木(お題目)で助かった」

成立と背景

「上」にあたる部分は「花見小僧」の名でも呼ばれ、他の小僧ものと同じく主人と小僧の掛け合いで運びます。「下」は「刀屋」と呼ばれ、人情ばなしとして独立したサゲを持っています。

徳三郎が暇を出されたのち伯父の家に厄介になり、そこでおせつの婚礼を知らされる「中」にあたる部分も存在しますが、一続きとして演じられることはまれです。なお「刀屋」という題で「牡丹燈籠」の発端を演じることもありますが、これはまったく別の噺です。

この演目を調べる・聴く

落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

← 落語の演目一覧へ