薙刀傷なぎなたきず
浪人の娘に恋わずらいをした若旦那のために、手代が話をつけに行く話。
あらすじ
日本橋横山町にある小間物屋・丹波屋の若旦那徳三郎が、浪人岩田角左衛門の娘であるつるに、ひどい恋わずらいをしてしまいます。
父親が「うちの倅はまだ子供で、そんな気を起こすとは思えないが」と言うと、手代の忠蔵は「若旦那もいつまでも子供ではありません。私が話をつけてまいります」と請け合います。
忠蔵は角左衛門の家を訪ね、お嬢さんをくださいと頼み込みます。初めは怒っていた角左衛門も、「私の命は捨ててでも若主人を助けとうございます」という忠蔵の言葉に折れ、とうとう承知しました。
こうして話がまとまると、それを聞いた若旦那はたちまち病が癒えてすっかり元気になり、間もなくつるを迎えてめでたく婚礼が執り行われました。
それから三年後のある夜、三人組の賊が押し入り、店の者を縛り上げて若夫婦の寝室に踏み込み、金のありかを案内しろと脅します。
おつるは落ち着き払って賊を土蔵の前まで案内すると中に入り、後ろ鉢巻きにたすきがけ、なぎなたを抱えて出て来ます。「賊ども静かにいたせ。このつると勝負に及び、私が負ければいかほどにも金を遣わす。いざ勝負」
「生意気な女め」と気色ばんで次々に切りかかって来る三人の賊を、おつるはなぎなたを振るって、一人残らず傷つけてしまいました。
ぼやきながら逃げる賊たちが、傷の様子を確かめ合って顔を見合わせました。「ももくり三寸」「肩八寸」「指は九本になりかかる」
成立と背景
「桃栗三年柿八年」という言い習わしを、まくらで説明しておかないとサゲの仕掛けがわかりません。原話は、宝永五年に上方で出た「福禄寿」に収められている「喧嘩の理屈詰め」です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

