落語の演目

いいえいいえ

艶笑噺喧嘩

別題: 嵐民弥、尾上多見江、多見江尻、佐野川市松

女形を娘と思い込んだ馬子の家で起きたことを、家じゅうが互いに隠しあう話。

あらすじ

地方回りの芝居一座で女形をつとめる役者が、座頭とけんか別れして一座を飛び出しました。松原にさしかかったところで馬子と行き会います。女形の姿に加え、婿入りが嫌で家を出たととっさに嘘をついたので、馬子はすっかり娘だと思い込み、家へ連れて帰りました。

そのまま何日か厄介になるうち、女形は馬子の女房と同じ布団で休むことになります。久々に女の肌に触れたこともあって、夜のうちに手を出しました。女房のうなり声を聞いた娘が、母は寝言が増えたと言うので、今度は娘と一緒に寝かせると、同じことが繰り返されます。

母娘の間がやきもちでこじれてきたため、馬子は女形を実家へ送り届けることにしました。馬に乗せて道中を行くうち、相手を娘だと信じ込んでいる馬子のほうが妙な気を起こしますが、逆に女形にしりから事に及ばれてしまいます。

家に戻った馬子が娘に「あの女とやったろう」とただすと、娘は前を押さえて「いいえ」。女房に聞いても同じく「いいえ」。「さっきからしりが痛そうだけど、あの人にしりからやられたんべえ」と図星を指された馬子も、しりを押さえてこう答えました。「はあ、いいえ」

成立と背景

この噺は、際どい内容を扱う艶笑噺(バレばなし)の一つに数えられています。上方では女形の役名を尾上多見江として、「尾上多見江」「多見江尻」という題で演じられてきました。

東京では女形の役名を佐野川市松や嵐民弥として演じることが多く、それぞれの役者名をそのまま演目の題にすることもありますが、「いいえ」こそが本来の題と考えられています。

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落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。

出典

  1. 増補 落語事典東大落語会 編青蛙房1979年

上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

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