大師の馬だいしのうま
豆を惜しんでうそをついた女房に、弘法大師の力が及ぶ話。
あらすじ
諸国を行脚していた弘法大師が、ある家の前を通りかかると、女房が豆を煎っているところに出くわしました。空腹だった大師は、その豆を少し分けてほしいと頼みます。
女房は「これは人間の食べる豆ではありません、馬に食べさせるのです」と断りました。本当は亭主のために煎っていた豆でしたが、とっさに嘘をついたのです。
「そうですか」とだけ言って大師が立ち去ると、驚いたことに亭主が本当に馬の姿に変わってしまいました。
あわてた女房は大師を追いかけ、嘘をついたことを詫びて、亭主を元の人間の姿に戻してほしいと頼み込みます。大師は「よしよし」と、馬になった亭主の頭から順に体をなでていきました。
なでられたところから次々に人間の姿へ戻っていきます。だんだん下のほうへと進み、両足をなで終えて、いよいよ両足の間に手が伸びようとしました。
そこで女房が言いました。「そこだけはそのままにしておいてください」
成立と背景
バレ噺です。原話は明和九年に出た本に載る江戸小咄とされます。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

