ちしゃ医者ちしゃいしゃ
別題: 駕籠医者
死人の家へ向かう途中で置き去りにされた医者の、道中の顛末の話。
あらすじ
やぶ医者の家に、隠居の容態が急に悪くなったので来てほしいと、夜中に使いが来ました。医者は、迎えに来た男と自分の下男に駕籠をかつがせて出かけます。
途中まで来たところで、隠居がすでに亡くなったと知らされました。それを聞いた迎えの男は、もう医者に用はないと、駕籠をその場に置いて帰ってしまいます。
仕方なく下男と医者が駕籠をかついで戻りかけると、肥汲み屋に出会いました。話を聞いた肥汲み屋は、代わりに駕籠をかつぐと申し出て、医者はその駕籠に乗ることになります。
ある家のそばまで来ると、肥汲み屋はここで一軒汲んでいくと言ってその家に立ち寄りました。家には耳の遠い老婆がいて、「医者が一緒だ」というのを「チシャを持って来た」と聞き違えます。
老婆は、駕籠の中の医者に向かって冷たい手を差し入れました。驚いた医者は老婆を蹴ってしまい、老婆はうめいて倒れ込みます。
怒った老婆の息子が医者を打ったり蹴ったりし始めると、下男がそばからこう言いました。「足でよかった。この人の手にかかったら命のないとこや」
成立と背景
上方に伝わる噺で、当代の笑福亭松鶴が演じます。東京では四代目柳家小さんが、三代目三遊亭円馬から教わって演じました。
チシャは野菜の一種で、むかしは肥を汲みに来た者へのお礼として野菜を渡す習慣がありました。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

