八百蔵吉五郎やおぞうきちごろう
別題: 両国八景、柳影月朧夜
茶屋の娘と巾着切りの仲を描き、捕縛と身投げに至る話。
あらすじ
両国の並び茶屋、白菊にはお菊という十八になる美しい娘がいて、たいそう繁盛していました。そこへ男振りのよい若者がしげしげと通ってきては金を使うので、お菊も男が来るのを楽しみにするようになります。
船遊びをすれば五両、家を直せといえば三十両というように、若者は気前よく金を使いました。近所に住む金棒引きのばあさんがこの男を見て、あれは八百蔵吉五郎という巾着切りだと言いふらします。
お菊は父親からそのうわさを聞き、吉五郎の身に何か起きてはいけないからと、よそから呼び出すようにしてほしいと頼みました。血相を変えて出て行った吉五郎でしたが、匕首を差してふたたび姿を現し、自分は言われるとおりの盗人だが三日でもいいから女房になってほしいと打ち明けます。
吉五郎とお菊が二階で過ごしているあいだに、父親は金棒引きのばあさんの家へ行き、出刃庖丁で殺してしまいました。血のついた庖丁を吉五郎への餞別として差し出し、娘を連れて堅気になってくれと頼んだのち、父親はのどを突いて自害します。
吉五郎はわびながらお菊を連れて逃げますが、捕り手に取り囲まれ、ついに捕らえられて処刑されました。お菊も百本杭から身を投げて命を絶ちます。
成立と背景
「柳影月朧夜」という長編の人情噺の一部にあたる演目です。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

