辻駕籠つじかご
にわか駕籠屋の二人が客を乗せ、行き先も方角も分からなくなる話。
あらすじ
甚兵衛と喜六の二人が、家主に勧められて辻駕籠を始めることになりました。天王橋のそばに立って客を引きますが、手ぬぐいを持って湯屋に行くだけの人をつかまえてしまうなど、失敗続きです。
しまいに、吉原へ行きたいという客を乗せて走り出しました。ところが途中、客に「ぐずぐずしねえで一気にやってくれ」と言われたのを、市ヶ谷という地名と聞き違え、方向を変えてしまいます。
しばらく走ったところで、客が「ここはどこだ」と尋ねました。駕籠屋が「水戸様で」と答えると、客はあきれ返ります。「おい冗談じゃねえ、あきれてものが言えねえ。もう吉原へ行くのもいやになった。ここでおりるから履物を出してくれ」
ところが駕籠屋は、客の履物を元の場所に置きっぱなしにしてきたことに気づきました。客は「まぬけな駕籠屋だ、はだしじゃ帰れねえ。吉原へ行くのはよして、辰巳へやってくれ」と言いつけます。
「へえ、辰巳で……」と請け合った駕籠屋でしたが、そのまま見当違いの方へ歩き出したので、客が「おいおい、どこへ行くんだ」と声をかけました。
駕籠屋はこう言いました。「家へ行って磁石を持ってまいります」
成立と背景
亡くなった三遊亭小円朝が得意にしていた演目です。「ちきり伊勢屋」にも、これによく似た一節があります。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

