天王寺詣りてんのうじまいり
別題: 犬の引導鐘
犬の供養をしたいという男を連れて、彼岸の天王寺へ参る上方の話。
あらすじ
大阪の天王寺では、彼岸の七日間、無縁仏の供養のために引導鉦をつくと聞いた阿呆が、自分もその鉦をつきたいと言い出しました。
誰の供養をするのかと尋ねられると、阿呆は、飼っていて殺されてしまった犬のくろを弔いたいのだと答えます。くろが息絶えるさまを思い出し、阿呆は泣き出してしまいました。
そこで天王寺へ連れて行き、くろのための鉦を坊さんについてもらうことになりました。坊さんは「お前の一心がかのうてな。あの釣鐘を見てみい、くろがのりうつって、うなっとるがな、ウォーソ、ウォーソ」と鉦を鳴らします。
阿呆は「ああ、ほんにくろがうなっとる。わたいにもひとつつかしておくんなはれ」と坊さんに頼み込み、うれしそうに自分でも鉦をひとつつきました。
鉦がウォーソ、ウォーンと鳴ると、阿呆は泣きながらこう言いました。「ああ、無下性にはどづけんもんや」
成立と背景
大阪での原題は「犬の引導鉦」といいます。イヌが殴り殺される場面を仕込んでおかないとサゲがわかりにくいため、演じ方が難しい噺とされています。
そのため、故三遊亭百生は演奏の途中からからくり屋や順礼、あほだら経などの描写に脱線し、サゲをつけずに演じ終えていたといいます。
この演目を調べる・聴く
- 国立国会図書館サーチ
この演目の本・速記本・レコードの目録。誰が演じ、いつ出たものかが分かります。
- 歴史的音源(れきおん)
戦前を中心とした録音。同じ演目を誰が吹き込んだかが並びます。
- 歴史的音源(自宅で聴ける分だけ)
上の検索を、インターネット公開されている音源だけに絞ったものです。
落語は演者によって筋やサゲの細部が変わります。ここに書いたあらすじは一つの形で、 実際の高座とは違うことがあります。
出典
- 『増補 落語事典』東大落語会 編、青蛙房、1979年
上の本で確認した事実をもとに、文章は寄席ミルが書き起こしたものです。本文の引き写しはしていません。

